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コンドームとドッペルゲンガー

「……これは?」

 エオの身体に吸収された光は、一点に集まる。

「……エオ? 何をやってるんだ?」

「え? 何ってなにが?」

「ふざけてるのか?」

 グレイは少し不快な顔をしている。もしかしたら失敗したのだろうか。村長の顔を見てみるが、うんうんと頷いている。失敗というわけではなさそうだ。

 では、何故グレイはそんなこと言ってそんな表情なのだろうか。


「エオ、下を見ろ……」

「……した?」


 グレイの言う通り下を向く。


「……これは!」


 エオは見てしまった。否、気付いてしまったともいえよう。

「光ってるだと!!」


そう、光っているのだ。自分の股間が。煌々と。


「……村長これは??」

「これこそ、神義の極みじゃ……!」


「いやいやいや! こんなのギャグでしょう?! コロ〇ロコミックスですかい?」

「……? その、ころ〇ろこみっくすというはわからんが、これは淫力と呼ばれていたエオの魔力の正体じゃ。この世界には存在することがない、神のみぞ知る、神義の極み。あえて名をつけるなら、新魔力でも言うべきかのー」

「……新魔力ですか…………?」

「そうじゃ」


 新魔力。

 異世界にきたなら、やっぱり、特別なちからに憧れるし、嬉しい。

 しかし、素直に喜べない。

 だって。


「これから、僕はずっと股間が光っぱなしでしょうか? こんなことで倒せるのでしょうか? いいえ、無理です、こんな体では外すら歩けません、さようなら」

「まてまて! 流石にわしもそんな股間が光りっぱなしのやつの協力はしたくないのー」

「お前のせいだろう!!」

「まぁまぁ、そんなこともあろうか、この発明道具を持ってきた、つけてみー」

「……これは?」


 平べったい、2センチほどの何かをエオは受け取った。

 それを開けると中から、丸いゴムが。


「コンドームやないか!!」

「ほっほ、エオもコンドームを知っておったか!」

「知ってるよ、避妊大事だもんね!」


 勢いに任せてツッコんでしまったが、何を言ってるのかちょっと良く分からない。


「しかし、それは全く違う用途で使うのじゃ、ほれ、取り敢えず、はめてみー」

「…………ここで?」

 こんなみんなが見てる場所で無理だ。メウとビスもいるのに教育に悪い。

「……エオは特殊な性癖でも抱えておるのか? 隠れてはめてこい」

「…………」


 まさか、あんなじじぃから変な目で見られるとは、なんとも、悲しい……。


「私はここでもいいのー」

「ビスもいいのだー!」

「……ごめん、嬉しいけど、フォローになっていないよ…………?」


 エオは船の中に戻り、トイレではめる。

「……これは凄い!」


 光が収まっている。しかも、勃っていない状態でもこの着け心地。癖になる。

 機嫌よく船梯子を渡り、降りる。


「村長これ、めっちゃ凄い…………」

「やぁ、エオ君? 僕の発明に協力する気にはなったかな?」

「……お前、なんで?」


 そこにいたのだ。

 シル・マッカザージルが。


 いや、正確に言うならニセモノが。


「まぁ、ちょっと早く着いちゃったから、挨拶をとね、そしたら、まさか、オリジナルまでいるなんて! 僕、驚いちゃった!」


 シル・マッカザージルが構える。ニセモノはケラケラ笑う。


「そんな構えなくていいって! 君に興味ないし。僕が欲しいのはエオ君の特殊な魔力だけだからさ」

 

 それにしても見た目はそっくりだ。服装は違えど、背格好、顔、声色。その他諸々。まるでドッペルゲンガーだ。


「まぁ、この状況だと、僕と戦うつもりだね、うんうん! まぁ、その戦力だと、もしかしたら、僕は負けちゃうかもね、でも、僕に勝っても何も意味はないんだよ?」

「……どういうことだ?」

「僕を倒しても幾らでも複製できるし、本当に倒したいなら、僕らの親を倒さないと、ね、君ならわかるでしょう、おじいちゃん?」

「……貴様からおじいちゃんなんて言われる筋合いはないわい!」

「まぁまぁ、でも、戦うってんなら、容赦しないよ? 明日の夕方頃、メジザ島で待ってる、それじゃ!」


 ニセモノは空中に浮かび、超速で消え去った。まるで嵐のよう、そこに残ったのは異様な緊張感と、一人一人、決戦に向けた覚悟だった。


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