メウとビスとトリノ湖と。~LAST?!~
エオはソラーノ島に帰還した。
「ついたのー」
「ただいっまーなのだ!」
メウとビスはまるで里帰りした若者のような発言をしているが、寧ろ、出郷したことになる。
エオもメウとビスの気持ちは分かる。数日しか離れていなかったのに懐かしく感じる自分がいるのは確かだ。
トリノコ島ではシル・マッカザージルと戦い、水龍こと、トリノ湖の神様と出会い助けて貰った。
そして、婚約?の願い事の代わりなのか、魔法を授かった。
しかし、その魔法の使用方法は全く分からない。それに、エオ淫力で魔法が使用なのかも気になる。クワやカマといった、魔法農具すら一旦、魔力に変換してからしか、使えなかった。
「エオはこの後どうするのー?」
「うーん、どうするかはまだ、決まっていないけど……?」
魔法について詳しい人がいれば、今のもやもやが解消できるが、そんな知り合いを知らない。
「あ、メウは魔法について詳しい人とか知らない?」
「それなら、ホルセが詳しいのー」
「え? ホルセ?」
ホルセって魔法使うのか。初耳だ。
初めて会った時、呪いを解くために薬を作ってはいたが、魔法を使っているところは、多分、見たことがない。
「グレイが言っていたのだ、ホルセはめちゃくちゃ凄い、魔法使いだって!」
ビスはぴょんぴょん飛びなから、興奮気味に、そして何故か、自慢げに言った。
「そうか、それなら、ホルセが帰ってきたら、聞いてみるか……」
ホルセが魔法使いなんて知らなかった。結構長い間一緒にいるのに、少しだけ寂しい。
あ。
そう思えば、みんなと離れたあと、連絡を取ってなかった。
『ステータス』
これでメッセージを送るとしよう。
ピロリん
狙ったかのようなタイミングでメッセージが届いた。相手はクライドだ。
【エオ、帰ってきたらしいな、無事で何よりだ。早速ですまないが、今すぐハロニー漁港まで来てくれ、緊急だ。】
クライドからのメッセージはかなり緊迫感があった。もしかしたら、誰かに何かがあったのだろうか。
「メウ、ビス。今からハロニー漁港に行く用事ができたから僕はいくけど、二人はどうする? 疲れているなら家で休んでていい」
「いやだ、一緒にいくのー」
メウはエオの右腕に抱き着く。
「もちろん、ビスも行くのだ!」
ビスはエオの左腕に抱き着く。
「…よし、それじゃ、行こう!」
嫌な予感がするが、一時の間、両腕の可愛い二人のお陰で、気が紛れた。
ハロニー漁港に着くと、そこにあまりにも場違いな船が止まっている。
兎に角、大きい。そして派手だ。
「エオ! こっちだ」
クライドが船上からこちらに手を振っている。こっちと言われてもどっちか分からない。
エオが右往左往していると、レオルがやってきた。
「ついてきてください……」
あからさまに元気のないレオルにさっきまで紛れていたものが、確信に変わった。
なにか、良くないことが起きたのだろう。
船の中は見た目通りというところか、とても豪華だった。部屋の数も多く、一人だと絶対に迷ってしまう。
メウもビス珍しい景色にきょろきょろしている。
「この部屋に皆さん揃っています……」
レオルが扉を開ける。
その部屋はこの豪華な船の割には質素な部屋だ。
中央にはベッドが一床ある。その周りを数人が囲っていて、どこか、憂いを含んだ表情をしている。
エオは恐る恐る近づく。
この時点で、感づいていたのだ、ここに一人いないことを。
そこには良く知っている少女が一人。
「キャロル!」
キャロルを見た瞬間ベッドに飛び込んだ。
が、レオルに首根っこ掴また。
「何をする!」
「それは私のセリフです! 病人になんてことするつもりなんですか!」
「病人……?」
てっきり死んでしまったのかと思っていた。病気になったのか。いや、そんな雰囲気ではない。
「どうしてこんなことに……!」
「私のせいなんです……!」
そう声を挙げたのは、ゴスロリファッションの少女だった。
「あなたは……?」
「私はパンヌです、何があったか、私が話します………」
パンヌはキャロルたちの身に起こった悲劇を語りだしたのだ――。




