悲鳴と報告
「きゃぁ!!!」
エオ家の朝は悲鳴から始まった。
「う、なんだよ、朝から……?」
寝惚け眼のエオはゆっくりと瞼を開いた。
「だ、誰ですか?!」
「ん??」
エオはぼやけた視界で必死に焦点を合わせる。
「え? え!!」
そこにはボサボサのピンクの髪にタレ目が特徴的な美少女がいた。
裸で。
「誰なんですか?! 貴方は?!!」
「え、いや、それは僕のセリフだよ!」
「………警察呼びますよ?」
「いやまってまって!! ここは僕の家だよね?」
「もしかして? エオさんですか?」
「う、うん」
「なんだー、それならそうと早く行ってくださいよー」
「えーと、なんか、ごめんなさい」
どうしていいのかわからないとき、つい、謝ってしまう。
「全然大丈夫ですよ、取り敢えず、私は服を着るので、そのー、外の方向いて貰うと助かりますけど……」
「あ、ごめんなさい?」
エオは黙って窓側に身体ごと視線を移した。
「まだ、駄目ですよ、こっち向いたら……?」
「は、はい」
何分が過ぎただろうか?
「あのー、もうそろそろいいですか?」
エオの言葉に対する返答はなかった。
「向きますよー?? いいですかー?」
それでも、帰ってこない。
エオは勇気を出して振り返る。
「あ、あれ?」
そこには彼女の姿はない。
「寝惚けてたんだな、きっと」
朝目が覚めたら、裸の美少女がいるみたいな王道ラブコメ展開を期待しすぎたのだろう。
「これも、ホルセのせいだな……」
昨日のことが頭に過ぎったが、首をブンブンと降ってどうにか忘れた。
「まぁ、取り敢えず、鍵をマトソムに見せなきゃ」
エオは素早く準備を済まし、マトソムがいる役所へと向かった。
役所にて。
「おぉ、おはよう、エオくん! よく寝れたいかい?」
「はい、気持ちよく寝れました」
「それは良かった! それで、今日はどんなご用件で?」
「これを見てください」
ポケットから鍵出した。
「こ、これはもしかして?」
「多分、封印の鍵です」
「おぉー、エオくん! 流石だね、仕事が早い! これはキャロルかな??」
「あ、いや、これはホルセさんのですね」
「ほぉほぉ、ホルセの鍵だったんだね! 凄いじゃないか」
「まぁ、たまたまですけどね、取り敢えずこれで後六つですよね?」
「そうだね! 鍵の保有者、つまり、恋人候補についての資料を渡してなかったね」
「あー、それはホルセさんから頂きましたよ」
「そうかそうか、これは失礼した。それで、次のターゲットは?」
「ターゲットなんて言い方やめてくださいよ、村長……」
その言い方だとまるでエオがヤリ○ンみたい。
「それは失敬。それでだね、次はこの恋人候補にチャレンジしてほしい」
マトソムは一枚の紙を取り出した。
そこには少女が描かれている。
「え? この子って??」
そこにはエオの見覚えのある、タレ目の美少女が映っていたー。