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キャロルとクライドとレオルとメジザ島 ~LAST~

「まぁ、残念だけど、裏切ったあいつが悪いよね」

 ケラケラと笑うシル・マッカザージルに射るような眼差しで睨むパンヌ。

「そんな目で見ないでよ、腹は違えど血の繋がった兄妹じゃないか?」

「なんで、殺したの……?」

 パンヌの拳にはこれでもかというほど力が込められている。手のひらには爪が食い込み、血が滴り落ちている。

「えー、殺したなんて物騒な、僕はいらなくなったおもちゃを自分の力で処理したんだよ? ポイ捨てするやつもいるのに、僕、なんて良い子」

 余裕綽々で意気揚々としているシル・マッカザージルにクライドは大剣で降りかかる。

「そんな大きな振り、簡単にかわせちゃうって……?」

 シルはバックステップで大きく後ろに下がる。

「いまだ、スピッシュ!」

「喰らえ!」

 シルの態勢ではスピッシュの刃を交わすことは出来ない。

 スピッシュの確かな感触を覚えた。そのままの勢いで、船壁を破壊し、海に落ちる。

「やったか……?」

 スピッシュが水面から顔を上げ、周りを見渡す。クライドとレオルとアル、そして、キャロルが船上からこちらを見ている。

「おーい! みんなー」

 手を振るスピッシュ。しかし、誰も振り返してはくれない。

「海に飛び込むなんて、君、見た目によらずやんちゃなのかな~?」 

 シルの声にスピッシュは後ろを振り向く。

 しかし、そこには誰もいない。

「そっちじゃないよー、うえだよ、うーえー!」

 スピッシュは上を向く。

「そんなのって……」

 そこには空中を漂う機械仕掛けの異物が四つと直立で立っているシルがいた。

 シルの靴には魔法陣が輝いており、他の機会にも一つ一つ形が違うが、膨大な魔力を放っている魔法陣が刻まれている。

 その中で最もシンプルな形状の球体が近づいてきた。

 顔の目の前で光を放つ。

「ドーン!」

 シル・マッカザージルの掛け声と共に漆紫光がスピッシュを吹き飛ばす。

「スピッシュ!!!」

 クライドの声も虚しく、彼は海の藻屑となった。


 シル・マッカザージルは何事もなかったように船内に戻ってきていた。

「貴様……!!」

「そんな怖い顔しないの、おっさん、仕方ないでしょう? 正当防衛だよー、あのままだったら僕が殺されてたかもよ?」

「許さんぞ……!」

「許さないも何も、先に仕掛けたのそっちじゃん! 自分のことは棚に上げてさ? ずっるい!」

 ぷんぷんと効果音を口にするシルの姿は人を殺した後のものとは思えない。

 サイコパスなんて言葉じゃ言い表せない。違う、あれはもう、人間の皮を被った悪魔だ。

「何なにナニさー、僕が正論行ったらみんな黙っちゃってさー、さっきまで威勢はどうしたの?」

 この状況キャロルたちにとって、お世辞にも勝算があるとは思えない。絶望的だ。

「あー、あー、面白くないなー、まぁ、いいっか、あ、ゲームはそっちの勝ちだから、そこの島はあげるよ、あと、パンヌの……?」

 シルは不自然な場所で言葉を止めた。

「あ、あれ? パンヌは何処かな……?」

 きょろきょろ辺りを見渡すシル。

「おい!」

 シルは声がした方を向いた―。

 その一瞬、誰も分からない、目を開けることすら許されない、ただ、気付いたときにはシル・マッカザージルは燃えカスになっていた。

「うえだよ、うえ」

 両拳に真っ青な炎を宿したゴスロリファッション少女がシル・マッカザージルを一撃で倒した。

「パンヌ……なの…………?」

 その姿を見たキャロルは気絶してしまった。


 目を覚ましたのは全てが解決した、その日だった――。


 

 

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