ペピーとパンヌと絆と覚悟
※前の次回予告と大きく異なっています、ご了承のほど、お願いします!
僕の飼い主はとても頭が良くて、魔法も才能もあって、開発とかも出来て、おじいちゃんのことが大好きで。
そして、ずっと、嫌われていた。
僕はそんな彼をずっと見ていた。とても元気な明るい彼はずっと、無理していることも知っている。
「起き……て…………」
「う、うん……?」
「ペピー?」
「え……??」
「やったー、成功だ!」
そこには愛しの飼い主が居た。シル・マッカザージルだ。
「あ、あの、なんで喋れるの?」
「あ、うーんとね、これは魔愚って言ってね、名前はヘル・セカンド」
「あ、新しく開発していた例の改造版ね?」
「ペピー知ってるの?!」
「あー、勿論! ずっと見ていたからね!」
シルは下を向いて震え始めた。もしかしたら、恥かしいのかも知れない。ずっと見ていたということは、メルカリ族に対しての恨みや、才能を忌み嫌う人々の罵声で、気が狂いそうなったあの瞬間も全て見られていたということ。
普通なら逆キレしたって仕方がない状況。ましてや、シルはまだ幼いのだから、この感情を冷静に受け入れるほど、歳を重ねていない。
しかし、返ってきた言葉意外なものだった。
「ペピーはずっと見ていたのだろう?」
「うん!」
「じゃ、僕の言いたいことももしかしたら何となく分かるよね、この洞窟の意味も」
「うん、わかっているよ」
「じゃ、あの少女をどうか手助けしてやってくれ、後は任せたよ……?」
「了解しました……!」
ペピーは目覚めた時点で気がついていた。パペットの布切れであるペピーという存在が何故、生命を吹き込まれたのか。
それはこの洞窟で暮らすパンヌという少女を救うためだ。
その少女はシル・マッカザージルと大きな関わり持っている。
パンヌという名前は略称でフルネームは【シル・パンヌス・テッカジーゼル】。
少女と少年は腹違いではあるが、実の父―シル・メッキガーデンの血を引き継ぐ、魔法使いなのだ。
そして、シルはパンヌという少女を助けたいと思った。
パンヌはこの洞窟で暮らし続け、結果、自分の才能に目覚めていない。それ何処か、自分が魔法を使えることすらもしかしたら、知らないのかも知れない。
「任せたよ」というシルの言葉には「パンヌを守って」という意味より「パンヌの才能を開花させて」という意味合いにかなり近い。
ペピーは自分が生命活動をする理由があるのなら、それに従うまでだ。
この命はシルの創りだした魔愚があってこそ、ここに存在する。ならば飼い主であったシルはそれ以上の存在になり、より一層彼の役に立ちたいと思うペピーの気持ちは必然だろう。
それから、二人は出会った。パンヌが急に降りてくるから焦ってこけてしまい、ドロドロになったペピーをそっと拾い上げてくれた彼女の手をペピーは忘れたことはない。会話が続かないけど一生懸命なパンヌの気持ちがひしひしと伝わってきて、ペピーの中で確かに、何かが動いたのを感じた。
それから、シル・マッカザージルの願いを叶えるため、そして、パンヌを人として成長させるための訓練が始まった。
最初はパンヌを洞窟から他の場所に移動するため、テレポートの練習をした。この魔法はこの世界において、膨大な魔力が必要で、実際使える者はほぼほぼいない。
しかし、パンヌなら可能だ。
テレポートを使いこなせるようになると、防衛部隊の試験に合格するほど、魔法のスペシャリストになっていた。筆記はペピーが手伝ったが、まぁ、それはそれで、楽しかった。その頃には、ペピーとパンヌの絆はだんだんと強く、堅くなっていった。
ずっと一緒で、たまには喧嘩もするけれど、それでもかけがえない存在。その気持ちはお互いに持っていたし、これからも一緒にいたかった。
「ペピー、任せたよ☆」
「了解……しま……した…………!」
シルからの伝言。パンヌの才能を開花させるための最後のキー。
それは「裏切りによる憤怒」。
その役割を担うことが出来る唯一無二の存在。
「くそ、離せよ、パンヌ! 僕はもう、お前なんか……!」
嫌いになるわけことなんてできない。
分かっている。
でも――。
「ペピー、あなた、もしかして、泣いているの?」
キャロルはペピーの涙に違和感を感じた。
この状況で矛盾にもほどがある、綺麗な涙を流せるだろうか。
あの涙の答えがキャロルには分からない。でも、この中で、ペピーの気持ちを理解しているものがいる。
パンヌ、ただ一人だろう
「ペピー! 無理しなくていいの、シル・マッカザージルが何者かなんて私は分からない、でもペピーのことなら誰よりも理解できるの」
「ウルサイ!!」
パンヌに掴んでいた手が緩み、ペピーは床にぼとんと落ちた。
「パンヌ! 何時まで夢見ているんだ! 僕は君を裏切った、ただそれだけだ!」
「夢なんかじゃない、貴方は私に色んなことを教えた! 魔法も知識も、世界の素晴らしさ、そして、温かい人々や、恋をする気持ち!」
パンヌは再びペピーを抱きかかえた。
「頼むから、パンヌ、僕を殺してよ、僕にはこの二択には耐えられないんだ、無理だよ、どっちも大切なひとなんだよ……!」
さっきまでの邪悪な雰囲気などどこにもない。パンヌはボロ雑巾ようなその姿を見たのは二度目だった。
「大丈夫だよ、私がペピーを守る!」
パンヌはペピーをはめた。パペットであるペピー、パンヌの一番の理解者ペピーはいつも通り、彼女の手にはめられた。
ペピーは涙を止め、パンヌに一言。
「やっぱり、パンヌだけ裏切れないや……」
その言葉にパンヌは涙を滝のように流し、こう返した。
「馬鹿ね、私と死ぬまで一緒だからね、覚悟しなさい…………!!」
※次回!
シル・マッカザージルVSシル・パンヌス・テッカジーゼルの巻
(キャロルたちの活躍はあるのか??)




