キャロルとクライドとレオルとメジザ島 part8
「ふー、気持ち良かった……!」
有り得ないほど綺麗で大きくて、月並み表現だけど、まるで、ダイヤモンドをちりばめたようだった。
「みんなもう、集まってるようね……?」
キャロルの周りに一匹の虫が飛び回っている。
赤い小さな虫―シウム10と呼ばれるこの道具は小型発信機だ。ステータスから随時、仲間の居場所を特定できる
仲間を示しているものアイコンは、食堂に集中している。それはメジザ島に乗り込む前に力を蓄える為、食事会をする予定だからだ。
勿論、キャロルも呼ばれていたが、パンヌとの討論? で少しばかり疲れてしまったので休息がてら、お風呂を利用していたという訳だ。
「って、パンヌ何してるの?」
食堂の扉の前でこそこそ、しているパンヌに声を掛ける。
「キャロルさん……!」
険悪な表情をするパンヌ。先ほどのことから察するにバツが悪いのは間違いない。
しかし、そうじゃない。
「何か、あったの……?」
「落ち着いて聞いて下さい……?」
「何よ……?」
「今、この食堂の中に、シル・マッカザージルが乗り込んでいます」
「え?!」
「しーっ!」
あまりにも驚いた為、有り得ないほど大きな声を出すキャロル。
それをパンヌの手、ぺピーが全力で口を塞ぐ。
「キャロル、もしかしたら、この食堂の中に裏切り者がいるかも知れません……」
「どういうこと……?」
「取り敢えず、入ってみましょう、私がキャロルを全力で守って見せます」
いつもに増して真剣なその眼差し。キャロルは唾を飲み、勇気を出して、扉を開く。
「キャロル……!」
一番に気付いたのはクライドだった。
「キャロルは安全な場所に避難してください」
スピッシュが周りに気を張っている。雰囲気でわかる。彼は今、物凄く集中している。
しかし、キャロルの目にはこの状況があまり上手く映っていない。
何故なら、シルがいないから、だ。パンヌの情報がウソだとは到底思えない。だとすれば、一瞬で何処かに行ってしまったのだろうか。
「そうか、シルが言ったことが本当であれば、決してこの四人の中にいるということではないのか…………」
ぶつぶつ独り言を喋るスピッシュに皆が集中している。
しかし、結論がでない。
『裏切り者』 つまりは、この作戦の成功を望んでいないもの、若しくは、単純にシルの味方か。
「取り敢えず、みんな、席について欲しい、キャロルも、パンヌとペピーもだ」
クライドが集合を掛ける。
皆が席について、クライド咳払いから、始まる。
「予定とは違うが、ご飯を食べながら作戦会議を始めよう」
クライドはにこっと笑って、シェフに料理を頼んだ。
「クライドさん! こんなときに呑気に飯なんて!」
「そうですよ? 時間もないですよ!!」
スピッシュとアルは猛反発。この状況だ。シルの話は信憑性は案外高いと仮定するなら、この中に、裏切り者とやらが潜んでいる。
「こんなときだからだ! 私はこの中に裏切り者がいると思っている、が、それと同時にどうしようもない理由があるとも確信している……」
「どうしようもない理由……?」
キャロルが首を傾げる。
「まぁ、その話も後々、っと、美味しそうな料理が来たぞ!」
シェフは緊張した手で料理を運んできた。大きな鶏肉料理で、高級なマキラドリを丸焼きした、贅沢な一品だ。シェフが緊張していたのはきっと、シルの暴走を見ていたせいだ。
それを見てクライドは大きな口でガブリと料理をほうばり、一言。
「上手いぞ! みんなも食べよう!」
キャロルはこの人がリーダーに抜擢される理由の一つを垣間見たような気がした。
まだまだ、続くかもです!!




