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夜道と花嫁候補

散々な一日だった。

異世界でのどかな牧場ライフが送れるとエオは思っていた。


「疲れた……」

 夜も深いエドワード商店街を二人で歩いている。

「すまないことをした……」


 エオの横にはマサルトクリニックのナース服を着た医者―ホルセが申し訳なさそうに下を向いている。


「いやいや、全然いいんですよ、それより、あの薬の効果が絶大ってことが分かったんで何よりです」

「あー、それについてなんだが、一つ問題があって……」

「問題、ですか?」

「エオは気が付いていないかも知れないが、あのカプセル作るのにはエオの淫力が馬鹿みたいに必要になってくるんだ」

「そうなんですか? まぁー、言われてみれば、体がだるいような?」

「薬一つ作るだけでも身体に影響があるんだ、何十個も作れば、エオの身は持たないぞ……」

「そうか、うーん……」

 エオは悩んでいる。膨大な魔力を持っているエオですらこの薬を大量生産するのは難しいとなれば、今後、エオより、強大な淫力を持った者が現れるのを待つのはあまり褒められた策とは言えない。


「悩む必要はない、エオ。鍵を集めればいいんだよ」

「鍵……ですか?」

「封印の鍵が手に入れば、ソラーノ島の魔物を封印して呪いを解くことが出来る」

「確かにだけど……」


 今回はまぐれでホルセから鍵を受け取ることが出来た。しかし、この先、どうなるかは分からない。不安は消えない。


「しかし、鍵の出現に関しては私自身が一番驚いていている」

「え、そうなんですか?」

「私はナース服を着て、若作りしているが……」

「あ、それ、若作りだったんですね?」


 ゴツン!


「いってぇ! なんで殴るんですか?」

「すまん、他人から若作りと言われると腹が立つ」

「先に言ったのはホルセさんでしょう??」


「……まぁ、それでだな」

 話を無理やり反らすホルセ。

「このソラーノ島には私以外に七人の花嫁候補がいるんだが、知っているか?」

「いや、全く?」

「エオは本当に何も知らないな、まぁ、しかし、エオみたいな若い男はこの島に来たら、大体結婚相手探しだと思っていたのだが……」

「いや、本当は牧場でのんびり暮らすことがそもそもの目的だったんです」

 転生について、今はまだ黙っておいた方がいいかも知れない。

「そうなのか? まぁ、折角だから、これに目を通しておいてくれ」

 一枚の紙。


「これは?」

「花嫁候補だ」

「つまり……?」


「鍵保有者リストでもあるな」

「助かるよ」

「あぁ、鍵集めはエオぐらいしか頼めないからな、サポートは出来る限りやるよ。今日はゆっくり寝なよ?」

「あ、もう家か」


「それじゃ、エオ。今日はありがとう! おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」


 鍵集めが格段とし易くなるアイテムをゲットしたエオは一日目を終えるべく、家のベッドに寝転んだ。


 エオは二日目の朝を迎えた。

「うぅ……はぁ……」

 窓から差し込む日差しが部屋全体を照らす。


「まだ……眠たい…………」

 エオは寝返りを打つ。


もにゅ


「ん?」

 柔らかい感触が顔全体を覆う。

「なんだ??」

 目を開いているのに、真っ暗だ。

「まぁ、いいか……?」


 エオはそのまま、夢心地で眠りについた……。






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