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おじいちゃんとシル

※今回は村長とシルの過去エピソード。

 そして、グレイとホルセが帰った後の話の続きを書きました。

 次回からキャロルとクライドとレオルとメジザ島の話に戻ります!


「おじいちゃん! 見て見てー!」

 額に赤い宝石を輝かせた銀髪の少年が、手に持っているものは鉄の箱。

「おー? シル、それはなにかね?」

 「おじいちゃん」と呼ばれた男は、微笑みながら、少年が作ったであろう、魔愚を観察している。

「これはね、こうやって使うの!」

 少年はポケットからネズミの死骸を取りだし、その箱を口に埋め込む。すると、死んでいたはずのネズミは動き出し、そこら中を駆け回る。その姿はあまりにも気味が悪い。

 ゾンビとか、そんなレベルではない。

「シル、これは……?」

「死んだ者をおもちゃにする道具【ヘル】だよ!」

 嬉しそうに、ハキハキと、得意げに話す彼に対し、恐怖以外の感情が湧いてこない。


「わしはこの時、なんていえばよかったのだろう……」

「どうしたんです? 村長?」

 ヘルカスは最近、村長のため息混じりの独り言が増えているのを感じた。

 つい、先日、旅の人、グレイに渡した、ゲルリカはメカリル族が今作れる、最大級の道具だ。確かにグレイは凄まじく良い奴であることはヘルカスも重々承知している。

 だからこそ、この状況はただ事ではない。グレイほどの人物が、メルカリ族の技術を借りなければ、解決できないこと、そのものが何なのか。

 ヘルカスだけではない。メカリル族みんなが気になっている。

「いや、なんでもない……」

 しかし、村長はなかなか話してくれない。隠し事を嫌う村長がここまで思い悩むことはそうそうない。

「そうですか、また、時期が来たら、私たちに教えてください、なにがあっても村長の味方ですから!」

「ありがとう、ヘルカス……」

 その時だった―。


「そんちょうーー!!」

 メカリル族防衛道具開発科のリーダーが村長に駆け寄った。相当焦っているようだ。

「どうした、そんなに焦って…………?」

「帰って来たんですよ!!」

「だれがじゃ?」

「シルです!! シル・マッカザージルですよ!!」


 村長が危惧していた未来のいくつかのパターンの中で最も最悪な結末を迎えそうだった――。



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