キャロルとクライドとレオルとメジザ島 part1
「キャロル、そんなに焦ってどうしたんだ?」
クライドはキャロルに引っ張られ、エオの家を飛び出してきた。
部下である、レオルも然り。
「まだ、エオには言っていないことがあるの、これは三人の秘密ね?」
「秘密ですか……?」
レオルは嬉しそうにニヤついている。
「二人だけの、秘密…………?」
「三人のだが?」
「茶化さないでくださいよ! クライドさん!」
「いや、茶化すというか、事実というか……?」
「そんなことより! 聞いてよ二人とも!!」
「「はい!」」
キャロルの勢いについ、クライドまで敬語になる。
「私ね元々、隣のメジザ島に二号店オープンする予定だったんだけど、それ、中止になったのよ……?」
「それは知っているぞ、だから、我々の母島、グレンドラゴン島にオープンしたのだろう?」
キャロルが経営する、雑貨屋ヒマワリの二号店はもうすぐ、オープンする。
人手以外はほぼほぼ、順調に進んでいる。
「そうなんですけど、そもそも、二号店を諦めた理由が、ある企業が島ごと買収したんだっていうの」
「え? 本当ですか!?」
「本当か分からないから、今から調べに行くの!」
「あーなるほど、我々と行く理由はそれか」
グレンドラゴン島の調査員リーダーとその部下である、クライドとレオル。この手の仕事は得意中の得意だ。
「キャロルはその買収した企業をどこだと踏んでいるのだ?」
「マジック・シェアよ、間違いなくね……?」
その言葉に二人は固まる。
「いや、でも、なんでそう思うんですか?」
「これを見てみて? あ、レオルには少し刺激が強いかも……?」
「お気遣いありがとうございます、でも、大丈夫です!」
「そう、この映像、念のため、録画してものなんだけど……」
キャロルはポケットから、小型の録画機器を取り出した。
その映像というのは、シル・マッカザージルが送ってきたものだ。
結局、あまりの悲惨さに開始十秒ももたないうちに、レオルは目を逸らした。
「ここを見て?」
「ん? これは……?」
キャロルが映像を止め、拡大する。
小さくてあまり、はっきりとは見えないが、小さなチラシが見える。
「メジザ島……に……ようこそ、だと?」
沈着冷静なクライドもこればかりは、眉間にしわを寄せた。
「これは、そういうことだよな・・」
「間違いなでしょう、シル・マッカザージルは隣の島にいる……!」
緊張が走り、空気が重くなる。
「…………」
「…………」
「キャロルさん! もう終わりました?」
耳まで塞いでしまっているせいで、レオルにはこの空気感が伝わっていないようだったが、その光景がどこか、おかしく思ってキャロル。
「ふっふっははは!」
大爆笑してしまった。
「え? え? なんでそんなに笑うんですか?!」
「クライドさん、それでは明日の早朝に出発で!」
「任せておけ」
「えー、どういうことですか、キャロルさん!!」
キャロルを追いかけようとするレオルの首根っこを掴むクライド。
「お前はこっちだろう?」
「クライドさんっ! 離してください! あの笑いのシンジツを突き止めるまでは!!」
レオルの悲痛の叫びは、キャロルの笑いを加速させたのだった――。




