グレイとホルセとメカリル族 part5
ホルセは今、運命の分かれ道に立たされている。
突然、現れたシル・マッカザージルとのゲーム。ルールは「質問に対して○か×で答える」こと。
「その勝負、受ける……!!」
シルの顔はにっこり。満面な笑みで、「シンジツ」を起動する。
すると小さなビックリ箱が大きく膨らんでいく。
「…………」
「…………」
しかし、それで終わり。ピエロが喋るわけでもなければ、何か始まるわけでもない。ただ、箱の表面にデジタルパネルがあり、右には【○】左には【×】と表示されている。
「それじゃ、始めようか! 質問するね!」
シルは人差し指を上げて、テデン! と口で効果音を出し、質問を始めた。
「シンジツの前では嘘偽りは認めません! 問います! ホルセは好きな人がいます。その好きな人には、他の好きな人がいます、ホルセは大人ぶって、その好きな人のことを諦めようとしています、この行動は正しいですか? ○or×??」
「な、なんだ、その質問は……?」
「え? 何って? ○×クイズの質問だよ? そこのパネルには○と×あるでしょ? 制限時間は、うーん、まぁ、特別に一分上げちゃう! それではスターと!!」
それだけ、言い残すと、シルは部屋から出ていった。
「おい! まて、シル!!」
その言葉はシルには届かない。部屋を反響して、虚しく返ってくるだけだ。
「くそ、よりによって、なんでこんな問題なんだ…………?」
好きな人、大人ぶって、諦めて……。
最近、ずっと頭の中がぐるぐる廻っていた言葉たちと類似している。
「でも、この質問は○×では答えられない……!」
○×のデジタル板の横には38秒と表記されていた。制限時間であろう。
ホルセはエオが好きだ。
絶対フラれると分かっていながらも、告白してしまうほどに。
フラれるときも、大人ぶって諦めて、自分は良い人だって、思って欲しくて、エオに取って、それがベストだったんだって、ホルセは何万回と言い聞かせた。
「正しいとか、分からないよ…………」
それでも、その行動が正しいかどうかなんて、分からない。
22秒。時間は刻一刻と過ぎていく。
「でも、この質問に答えを付けるとしたら……?」
ホルセが取った行動。アハキバラ島からの帰りの船でのこと。そこで伝えた思いと言い訳の言葉。
逃げた。
好きとか、そんな感情が怖くて逃げて、今でも逃げて、そして、ここまできた。
ずっと心に突っかかっていたもが、現実として、目の前に立ちはだかる。
10秒。
「はー、もう! 真面目な私は辞めだ!!」
何かを捨てた。
7秒。
「私は! エオが大すきだ!!」
何かを曝け出した。
4秒。
「こんな簡単な問題! 何故迷っていたというのだ!!!」
3秒。
「これでどうだ!!」
1秒。
ホルセは勢いよく、デジタル板を殴った。
この解のない問題に、答えを与えた。
ホルセに取ってこの問題は――だった。
いつの間にか、part5まで来てしまいましたが、もう少しお付き合いお願します(泣)




