グレイとホルセとメカリル族 part3
「この後に及んで、エオは女遊びに現を抜かしているのか……?」
ホルセは溜息をついた。
が、メウから送られてきた写真をもう一度、確認する。
「似合ってるじゃないか……」
エオのタキシード姿にホルセは、頬を赤らめた。
「はっ! こんな時に何を考えているんだ、私は……」
しかし、直ぐに我に返り、現状把握に移る。
シル・マッカザージルとの戦闘において、ホルセの力は絶対に必要不可欠である。それはホルセの魔法の力、つまり、魔力の質量が桁違いだからだ。魔法使いを超える程ではないが、それ以外の種族の中ではトップクラスであること間違いない。
しかも、攻撃特化型。足止めぐらいには、十二分になり得る
「今はゆっくり休むか……」
ホルセが今できることはゆっくり休むことだ。
ソファからベッドに移り、本格的に睡眠につく。
しかし、なかなか寝付けない。
「エオ……」
口から勝手に出た、好きな人の名前にホルセは、枕に顔を埋め、悶えていた。
一方、その頃、グレイは。
「久しぶりじゃないか! グレイ! そうだ、聞いてくれよ! グレイが教えてくれた、薬草栽培法、やっぱり、最高だぜ! 未だに壊れないし、どんどん育つし!」
ヘリカスは大きな体でぴょんぴょん跳ねながら、グレイに興奮気味に薬草を見せた。
「それは、メカリル族の技術力があってのものだ、本当にこんな装置を作るなんて設計した俺が言うのもおかしいけど、流石だ」
ここはメカリル族が生活を営んでいる要塞の中にある研究室だ。
旅の途中でこの要塞を見たとき、グレイはあまりの技術力にひどく感動した。魔法をほぼ使わないでここまでのものを作り上げる根性と確かな腕。グレイは俄然、興味が沸いていた。
しかし、メカリル族がこんな辺鄙な場所にわざわざ、要塞を作ってまで、暮らしているのは理由がある。それは、他種族との交流を最低限に抑えるためだ。メカリル族はただ技術力があるだけではなく、心がきれいで他人の話をすぐに信頼してしまう。
それ故、技術力を盗まれることも多々あり、このままでは良くないと踏んだ村長がこの要塞を長年かけ、作り上げたのだ。
「でしょ? まぁ、でも、あの時、グレイが村長と認め合うまで討論してくれたおかげだよ! ありがとう!」
それはもちろん旅人だった、グレイも要塞の中に入れてはくれなかった。村長が事情を説明する中で討論になり、途中から【技術と魔法 どっちが強いのか!】という討論会が開かれるほどに発展。
結果お互いの長所を生かすべきという結論に至り、二人はお互いの有志称え会うほど、仲良しなっていた。
「こちらこそ、それにこれから、また、お世話になるからな……」
「任せなよ、グレイのためなら、いくらでも協力する!!」
「ありがとう、それじゃ、いまから、村長と話があるから、またな」
「またねー」
ヘリカスは仕事に戻り、グレイは村長と一緒に研究室通路真っ直ぐ進んでいく。
「グレイからチャットが来たときは、本当に驚いたのー」
「すみません、急に……」
「はっはっ、構わんよ、それより、シル・マッカザージルのやつ、自然の力にまで手を出しよってから、あやつはよっぽど、最も脅威な存在になりたいみたいじゃ」
「最も脅威な存在……?」
「そうじゃ、あやつの会社はわしらか盗んだ沢山の技術力と魔法使いとして膨大な魔力がある、そして、魔力と対等と呼ばれておる、自然の力まで揃ってしまっては、シル、マッカザージルは、本当に誰もが恐れる存在になってしまう、そうなる前に、あやつは痛い目を見た方がいい」
「というと…………?」
「自然の力は自然と共に生きる者しか習得できないのじゃ、それを無理やりシルが取り込んだら、最後、自我は全くなくなり、植物人間のようになってしまう、ピースという少女を救うついでに、シルの熱も冷めてほしい」
村長は優しい人だ。しかし、事情を知りながら、そこまでシルを庇うのだろうか。
「村長とシルはどういう関係なんですか…………?」
村長は振り返り、グレイをじっと見つめる。
「グレイ、すまない」
「え? なぜ、謝るんですか?」
グレイは村長の目をしっかりと見ている、お互いの瞳に自分が映る。
前の討論の時も、互いに目は絶対目線は対等で逸らすことはなかった。
しかし、今回は村長、自ら視線を下げる。
「シル・マッカザージルは、わしの孫じゃ……」
グレイの頭の中で何かが、崩れ落ちる音がした―。




