ホルセとクリニック
「うぅ……」
目を開いた。蛍光灯の明かりが眩しく、もう一度目を閉じる。
「おい、少年。やっと起きたか?」
「こ、ここは?
」
白いベッドに薬品の匂い。察するのにそれ程時間は掛からない。
「病院か……」
「あぁ、ここはエドワード商店街のマサルトクリニックだ。お前が畑の中で倒れていたからな、助けてやった、感謝しろよな」
ナース服に綺麗な黒髪、眼鏡の奥にある大きな瞳は見ているだけで吸い込まれそうだ。
「あ、ありがとうございます……」
「ったく、少年、名前は?」
「えーと、愛雨エオです……」
「エオ、あー君が新しくこの村に来たというエオ君か?」
「あ、そうです」
「この村は良き村だったんだがな、呪いのせいでこの先、滅ぶ一方だろう、私の力が足りないばっかりに……」
呪いはきっと性欲がなくなるあれのことだろう。
「えーと、あなたの名前は?」
「あ、すまない、私はホルセだ、このクリニックで医者をやっている」
「あ、え、医者だったんですね?」
「そうだ、この村には私以外に医者はいないから、体調が悪くなったらいつでもこい、ただ、『体力ゲージ』はこまめに確認しておくことだ、いいね?」
「体力ゲージ?」
初めて聞く単語だ。
「ん? もしかして、体力ゲージも知らないのか?」
「は、はい……」
「体力ゲージは自分の体力の残量を表すものだ。これがゼロになると、倒れてしまう」
「そうなんです、で、その体力ゲージはどうやって確認すれば?」
「目を閉じて、ステータスと唱えてみろ、そうしたら目の前に色んなコマンドが見える。その中の体力ゲージを見るんだ」
言われた通り、目を閉じ、唱える。
≪ステータス≫
すると。
「……見えた残り、87パーセント」
「そうだ、それがゼロになったらまた倒れてしまう。次倒れたときまた、私が助けに行けるとは限らない。だから、確認を怠らずにしてほしい」
「わかりました」
「それでは、これで、準備が出てきたら、ここを出て行ってくれ。こう見えても私は忙しい。特効薬を作らなきゃならない」
「何かの薬ですか?」
「呪いを改善する薬だ」
「あ、なるほど。でも、その薬が完成すれば僕も鍵を集めなくて済むわけだ……」
「鍵って、封印の鍵か?」
「あ、そうです。村長曰く、淫力使いのほうが鍵を集めやすいらしくて……」
「それを早く言わないか!!」
「え?」
急に叫ぶので驚いてしまった。
「そうと解れば、エオ君!」
「は、はい!」
「私の研究を手伝ってくれ」
ホルセの手伝いをするこになったエオだが、キャロルのこともあり。
「嫌な予感しかしない……」
エオはいつになったら牧場ライフ楽しめるのだろうか。