時間と記憶
久し振りに再開します!
「ここは日本……?」
騒音とすれ違うヒトの汗や香水の匂いで鼻が曲がる。
エオは思い出したように、ポケットの中に手を突っ込む。
「……あった!」
探していたのはスマホだ。今日は何日で、自分は何をしているのだろうか。
「あ、そうだ、入学式……!」
エルゼの爺さんと出会ったのもここだった。
その時から、この世界は時間が止まっていたのだろうか。謎は深まるばかりだが、そもそも、あっちの世界は存在していたのか。
存在しているに決まっている。みんなとの記憶。
キャロルやホルセ、メウやビス。
そしてピース。
楽しかった思い出が嘘と思えない。
あの場所とヴァンパイアだったメリー。メリーは元々、妖精だった……。
本当にそうだろうか。
メリーが仮に妖精だったしたら、何故、特別に生かしたのだろうか。
「もしかすると……」
エオは一つに仮説を立てる。
メリーはヴァンパイアでも妖精でもない。
そしてピースのあの言葉は間違いないのであれば。
「元の世界には帰れません……」
その言葉とこの現状。
この矛盾を解く答えはただ一つ。
エオは大きく息を吸い込み、メリーに届くように叫んだ。
「聞こえるかメリー! こんなことで俺は負けない! これからどんなことが起ころうと困難が待ち受けていても!」
そして、もう一度大きく息を吸い込み、人生最大級に吐き出した。
「この世界にもう未練は一ミリたりとも残ってないんだよ!!」
エオに視界に移る景色が霧に変わる。
視界が開けたとき、そこは自分の部屋だった。
「ねぇ……」
エオは後ろに振り返る。
そこにはメリーが椅子に座って少し、陰のある表情をしている。
「あなたはこの世界が好き??」
「あぁ、ピースがいるからね!」
「そっか……」
メリーは椅子から降りる。
「ごめんね…………?」
「こちらこそ、ごめん、キャロル」
先ほどもまでメリーというヴァンパイアだった者が、見慣れた少女――キャロルになっていた。




