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不器用な笑顔と解決

「エオ、ありがとな!」


 アキラはエオに感謝している。

 牛のモーに嫌われているとばかり思っていたアキラだったが、エオの特殊能力なのか、動物と話せるというスキルのお陰で誤解であったことがわかった。


「いやいや、感謝されるのはまだ、早いよ」

「エオ? それはどういうことだ?」

 アキラは首を傾げた。


「モーが何故、ミルクが出せないのか、理由がわからないし、解決出来ていないよ」

「まぁ、確かにな、でも、それでもいいんだ」

 アキラはモーの気持ちが知れただけでいい。もしこの先、モーが死ぬ時まで、乳牛としての活用性がなくても一生、面倒を見るつもりだ。


「いや、良くない!」


 アキラとモーの友情が眩しくて、エオの心に火が付いた。

「いや、でもよ? 原因がわからないんじゃ……」

「僕の知り合いに研究者がいるんだけど、ちょっと頼んでみるよ!」

「研究者??」


 エオはステータスからあの人に連絡を入れた―。


~30分後~


「すみません、忙しいのに」

「いいよ全然、エオの頼みなら」

 

 エオが呼んだのは、柄シャツに短パンのイケメン研究者ことグレイだ。

「まぁ、本当はホルセも連れくるつもりだったが、キャロルの二号店設立の手伝いに行っているから、取り合えず検査だけでもしてみるよ」


 グレイは道具箱から、筒のようなものを出した。

 望遠鏡のような見た目だが、どのように使うのか。


「じゃ、モーちゃん、少しヒヤってするけど我慢してね」

「モーちゃんはやめいや!」

 モーが訂正を求めているがその声はエオにしか届かない。

「エオー、このお兄さんほんま大丈夫なんか?」

「あぁ、心配ないよ! 腕は確かだ」

「エオがそう言うなら……ヒャ!!」


 モーの体がビクンと跳ねた。

 グレイが筒の先端にヌメヌメの液体を満遍なくつけると淡い水色に光だし、モーの体に押し付けた。


「あーなるほどな……」

「グレイさん、何かわかりました?」

「あぁ、乳腺に少し炎症が起きてるなー、この段階だとモーちゃんにも痛みないし、ミルクが出なくなるだけだけど、これ以上ほっておくと何があるかわからないから、ホルセが帰ってきたら、薬を飲んでもらおう」

 グレイの適切な診断にアキラは少しだけ、下を向いた。


「もし、エオの言うことを聞かないで、ほっといたら、モーが苦しんでいたのか…………」


「でも、アキラくんは僕の言うことに賛同してくれた!」


 エオはアキラの頭を撫でた。


「ありがとう、アキラくんのお陰でモーの命も救えたし、友達もできた」

 エオの優しい言葉にアキラは少し涙を流したが、直ぐに拭いて、エオの手を払った。


「舎弟の分際で格好つけんな、ばーか」


 アキラはいつものように生意気で純粋で、不器用な子供の笑顔でこう続けた。


「エオ! 本当にありがとうございました!」

「いいえ、こちらこそ!」

 二人の握手する姿を見たグレイは心の中に込み上げる何かを感じた。

「若いっていいな、エオの免じて診察代は免除してやるから、モーにまた何かあったらいつでも呼びなよ」


 グレイはそう言って、ブレンド牧場を後にした。


 エオも一休み決めて帰ろうとしたとき、雨がぽつりぽつりと振り出した。

「早く帰らないと!」

 エオは家までの道のり走って帰っていた。


 しかし、あまりの激しさに近くにあった石の陰に咄嗟に隠れる。


「うわー、これは本降りだな……」


 エオがそう呟いて、石の出っ張りに腰を掛けたときだった。

「うわー!!!」


 エオの座っていた石が壊れ真っ盛に落ちていった――。




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