爺さんと初めての農業
「調子はどうかの?」
呑気にお茶をすすりながら、爺さんはエオに問うた。家に帰宅後、葉っぱの爺さんはただの爺さんになり、我が家に居座っていた。
「どうもこうもないよ、キャロルからは七人の女性を幸せにしなくちゃいけないとか、私は子供がほしいとか、え、えろいとか、色々言われてパニックだよ……」
まぁ、そもそも、この世界にエオを飛ばしたのはこの爺さんで勝手に家にいることについてどうこう言うつもりもない。何だかんだ、この状況化で頼れるのは爺さんだけだ。なので、今は、今日あったことを、愚痴っている。
「ほっほっほ、満喫しとるなー」
「おいこら、爺さん、話聞いてたか?」
「それでじゃが、牧場のほうは手付かずじゃの?」
全く話を聞かず、話題を変える爺さん。でも牧場のほうは爺さんの言う通り、何もしていない。折角、転生して農業を始めるのだ、少しぐらい、やってみたいのだが。
「あ、まぁ、そもそも、道具が使えないんじゃ、仕方ないだろ?」
そう、エオは魔力を持っていない。その代わり、性欲が強いやつだけが持つといわれる、何とも不名誉な力――淫力が馬鹿みたいにあるが、魔力専用の道具はどっちみち使えない。
「そうか、それは失礼したの、ここの道具は魔力使用だったから、それじゃ特別にこの道具を授けよう」
爺さんは徐にポケットから、道具を取り出した。
「これは……?」
赤い筒のようなものに神々しい銀色のライン。
「TNGと言ってな、淫力を魔力に変える道具じゃ、これを筒の中に手を入れてみ」
「こ、こうか、うえ、なんだ、これ、ぬるぬるしてる……」
「お、ぬるぬるしておるじゃろ、それで、しこしこすると気持ちんじゃ……!」
バッコン!
「おい、小僧! いきなり殴るとはどういうことだ!」
「TNGってTENGAじゃなか、ふざけんなよ! なにが、淫力が魔力に変換できるだ、淫力駄々漏れ性欲マシーンじゃなか」
落ち着かない。もう一発殴るか?
「ま、まて、本当に魔力に変わっておるんじゃ、ほら、試しに道具を使ってみてくれ……?」
「本当か??」
「本当じゃ……」
エオの畑にて。
「ほれ、とりあえず、クワで畑を耕すぞ」
「こ、こうか」
エオはクワを畑に向かって振り下ろす。
すると、畑の一角が茶色にもふもふした土に変わった。
「おぉ、凄いぞ、これ……!」
「これで、農業ができるな、それじゃ、わしはこれで失礼するぞ」
「え、ちょっと爺さん?」
「また、お主が困ったころに現れるだろうぞ」
そう言って爺さんはそそくさとどこかに行ってしまった。
「それじゃ、雑草抜いて畑を耕しますか」
夕方―――。
「ふぅ、疲れた……」
綺麗に整地された畑には雑草一本も生えていない。
「おっと……」
エオは疲れの余りふらついて、尻餅をついてしまった。
「頑張りすぎたかな、部屋に戻って、ね……る…………か……」
バタンッ
立ち上がろうとしたエオはそのまま倒れてしまった。
投稿遅れてすみません。
もう少しペースあげれるよう頑張ります!