表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/130

慣れと妄想

「もしかして、エオ? 私だけじゃなくて、ホルセとも付き合おうとしてる??」

「いや、ホルセだけじゃないよ? メウもビスも、勿論ピースも全員お嫁さんにする」

 

 馬鹿げてるように聞こえるかもしれない。でも、エオはこれ以外、キャロルとホルセの告白を了承する手段が思いつかなかった。

 

「でもよかったよ、一夫多妻制が許されて!」


 エオはこの作戦を実行する前に大きな壁が一つあった。それが、複数人との結婚が可能なのかという点だ。

 しかし、キャロルが認めたということは、この島では結婚する相手が複数人でも良いのだろう。

 

「エオ…………??」


 キャロルから黒いオーラが滲み出ている。


「キャロル?? なんで、怒っているの?」

 キャロルはエオに一瞬で間合いを詰め、手を振り上げる。


「一夫多妻制なんて駄目に決まってるじゃんか!! ばーかぁぁぁああ!!」


 バチコンッ


 エオの顔面にビンタ。エオは、この程度、経験し過ぎて、慣れてしまった。

 しかし、物理的な痛みより、心が痛んだ。

 キャロルの頬を伝う涙。一滴、又一滴と地面に零れるその姿に。


「エオの言っていることは何にも解決になってないよ……」

「え……?」

「ホルセも私も、中途半端な気持ちじゃなくて、本気であんたを好きになったの。それを一夫多妻制とか、みんなを幸せにするとか、そんな言葉で濁さないで!」


 確かにそうだ。異世界転移・転生したら、漫画や小説みたいに、魔法も道具もあって、女の子も可愛くて、法とかルールが違くて、いっぱいの女性に囲まれ、うはうは生活。

 そんな妄想をしなかったかと聞かれれば、速攻で、していた、と答えらる。

 ここは、空想や想像の世界ではない。この世界で生きていくなら、この世界がエオの生きていく世界なのだ。


「エオはね、いつだって、優しくて真っすぐで、不可能なことも、チャレンジして結果も残して。私はそんなエオが好き。今の発言だって、きっと、私たちがどれだけ幸せになれるか考えた結論だってわかる」

「キャロル……」

 キャロルはエオを優しいというが、エオにとってはキャロルのたまに見せる、人としての本質的な部分のほうがよっぽど綺麗だと思っている。


「でも、エオはエオのことを考えて! エオが本当に好きな人は誰?」

 キャロルの重い言葉。一時も忘れたことない、好きだと言えなかったたった一人の妖精。


「僕は……!」


 ホルセに告白されたときに、出ていた結論だ。

 エオは少しだけ、回り道をしてしまった――。



 エオ家にて。


 エオは箱を見つめている。

 メウとビスから貰った、箱だ。

 きっと、依然と同様に、音声データが入っていると思われる。

 もしかしたら何かのヒントになるかも知れない。


「それにしても、開け方がわからん……」


 経験上、何かを思えばいいんだろうとなんとなくぼんやり考えていた。


「まぁ、またにしよう」


 今日はそれより考えることが沢山ある。

 振り返っても濃厚な一日だった。


「…………」


 エオはいつの間にか眠りについていた。

 今日、キャロルに言われた言葉、そして涙をエオは絶対に忘れないと誓いながら――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ