ロマンスとライバル
「えーと、リリカさん……?」
ここは、エドワード商店街の外れにある、銭湯―ロマンス。
エオはリリカに会うべく、仕立て屋ジャックライオに行くつもりだったのだが、ホルセの提案でここに癒しされに来たのだ。
しかし、今、エオの失言で、混浴風呂内は時が止まったかのように静かだ。
「エオ君は……?」
「は、はい」
やっとの思いでリリカは口を開けた。
裸を見られることはリリカにとって恥ずかしくないことではない。
そもそも、混浴風呂を利用したのは、人が少なく、一人でゆっくり出来ると思っていたからだ。
先約がいることは予想外で、格好つけて慣れてる感を出したのだが、まさかおっぱいが大きいですね、なんて言われると思っていない。
リリカはこの気まずい空気を一気に逆転する、言葉を一生懸命考えた。
「私の胸は、綺麗、か?」
答えがこれだ。
リリカは頭の中で、叫んでいる。
『私は何を言ってるんだよぉぉぉぉおぉぉ』と。
「綺麗です、とても」
エオの返答はこれだ。
エオは頭の中で、こう思っている。
『なに、何故その質問なの? 殴られても文句言えないレベルのことした自覚はあったよ?』と。
「そ、そうか、それは良かった」
『何がいいんだ私はぁぁぁぁああぁ』
「はい。ありがとうございます」
『やめてくれ、いっそのことぶん殴ってくれたほうがすがすがしいよ』
二人はかみ合わない感情の中、エオはいい方法を思いついた。
「あ、あのー、僕先出るんで! えーと、共有スペースで待ってます」
エオは浴槽から出るや否や、走って、脱衣所に逃げ込んだ。
「待ってるって……。行ってしまった……
」
リリカは疑問に思っている。何故エオは待つのか。
「まさか、私を犯すつもりなんじゃ……?」
リリカは恐怖で真っ青になった―。
一方、女湯では。
「まさか、キャロルまで来ているとは」
「私の台詞よ、ホルセが来るなんて珍しいんじゃない?」
キャロルとホルセが脱衣所で鉢合わせ、一緒に温泉を満喫していた。
「ホルセって実際、エオのことどう思っているの?」
「好きだよ」
「まぁ、あっさり、答えるのね?」
「告白もした」
「はい?!」
キャロルはあまりの衝撃で立ち上がり、大きな奇声を放って立ち上がった。
しかし、周りの人の目が気になり、ゆっくりとしゃがみ、お湯に姿を隠す。
「キャロルは告白していないか?」
「え、いや、す、好きじゃないし、エオのこと……」
「今更、私にそんな嘘ついても仕方ないだろう?」
「そうだけど……」
キャロルは深いため息をついた。
「ピースのこと、諦めて欲しいのよ私。でも、あんな必死で頑張ってるエオ見たら、協力しない訳にもいかないわよ。ホルセもそれでフラれたんでしょ?」
「フラれた前提なのは悔しいが、その通りだし、キャロルの言葉には全面的に賛成だ」
二人の思い人への愛は日に日に増していく。
そのことを二人は実感しているし、お互いがお互いを理解してしまう。
だからこそ、醜い争いは絶対起きないし、どうなろうと、誰も恨むことはしない。
「まぁ、キャロルは店のこともあるだろうし、落ち着くまでは、私も手を出さないことを誓うよ」
「あーら、それは助かるわ。ただでさえ勝ち目が低いのに、ホルセに本気だされたら、どうしようかと思った」
それでも、二人は諦めない。
この関係は、ライバルという言葉以外では、表せないだろう。
中途半端なとこで区切ってすみません!
明日には続き必ずや投稿します!!




