リリカとマフィン
「じゃあ、どっち……。もしかして……?」
「グレンゴランド島に雑貨屋ヒマワリの二号店が出来たの!」
「本当か! やったじゃないか!」
エオとキャロルは大はしゃぎ。手を握り合い、ぴょんぴょん跳ねる。
さっきまで、睨み合っていたとは思えないほどの喜びようだ。
「それでオープンは?」
「まだはっきりとはね、でも来月には確実にオープン出来る状態にまではさせるわ」
「おうよ! もし、僕に手伝えることがあったら言ってよ」
「分かった、何かあったら相談する」
「勿論、いつでも待ってるよ!」
今までは時間が許す限りキャロルはエオに協力出来た。
だが、二号店を経営するとなると、そうも言ってられない。今より何倍もきついだろうし、辛いこともストレスも増えるだろう。
しかし、キャロルには仲間いる。
壊れた性欲も今は、完全に治っている。
今の調子なら二号店の経営も上手く進められると、キャロルは確信している。
「それじゃ、鍵!」
キャロルはエオの掌に鍵を置きに、指を曲げ、両手で優しく包んだ。
「キャロル、本当にありがとう、何度、助けられたことか……」
「いいの、私も同じ。エオに何度助けられたことだが……」
キャロルは真っすぐできれいなエオの瞳をじっと見ていた。が、見つめ合っているようで、急に恥ずかしくなって、視線を反らす。
「この鍵はしっかり、預かるよ」
エオは空気を察してか、話を切り出した。
「エオも目標の為に頑張ってよね?」
キャロルの顔はまだ、火照っているが、目は真剣そのものだ。
「言われなくても、頑張るつもりだったけど、ね」
生意気な口調でニヤリと笑うエオ。でも、キャロルはこの表情が案外、一番好きだたったりする。
「屁理屈言わないのー」
その笑顔にキャロルも全力で笑って返すのであった―。
朝から始まったパーティーは夕方頃、お開きになった。
調査隊員全員、一人ひとりに握手を求められ、ちょっとしたスター気分を味わった後、ホルセから大事な話があると、呼び出された。
「エオ……?」
ホルセには珍しく、もじもじ恥ずかしそうにしている。
気にしなくていいと言い張っても、ホルセがエオに対する思いは消えないし、告白したことも消えない。
「どうしたの? ホルセ……?」
それでも、二人で話すことを選んだのには理由があった。
「まず、私の鍵もエオの渡しておくよ」
「あ、そう思えば貰ってなかったね、ありがとう」
エオはホルセから貰った鍵をしっかりと受け取った。
「あ、あと、こちらが本題なんだが、残りの花嫁候補を知っているか?」
「いや、知らないけど」
現在、エオが知っているのは四人。ホルセ、キャロル、メウ、ビス。
残り四人。花嫁候補も鍵を持っている可能性が高い。
「知らないだろうけど、リリカとマフィンは鍵をそもそも貰っていないらしいんだ……」
「え? それって……」
「マトソムに限って調べ間違いとは実際、考えにくいが……?」
「そのー、リリカとマフィンって何処にいるの?」
「仕立て屋―ジャックライオの一人娘のリリカと、シュナリー料亭でシェフをやっているのがマフィンだ」
鍵を四つ手に入れたエオに新たな花嫁候補が現れる――。
次回
リリカと、会うの巻




