二人とロリコン魂
朝が来た。
自分のベッドで起きたのは何日ぶりだろうか。
ピロリん。
目覚めてからというもの、ステータスにメッセージが鳴りやまない。携帯のように通知音を消すような便利機能はついていないが、眠りを妨げることもない。
寝ている間は、メッセージも掲示板の依頼も完全にシャットダウンしているみたいだ。
「えーと、依頼が三件かー、あ、でも、そのうち二つは明日か、ってことはケレルン種屋のエレスさんからの依頼のみか……」
メッセージの方には。
「三六件って、拡散しているのかな?」
メッセージはステータスを見たことある人は誰でも送ることが出来る。
しかも、ステータスを見せたひとが許可さえ出せば、他の人もその人にメッセージを送ることが出来る。
ブロック機能があるにしても、セキュリティ対策はほぼ皆無。
ウィルスなどがないとは言え、プライベート的に問題がある。
「てか、ほぼメウとビスからか……?」
エオはマンドラゴンの実を育て終えた後、マサルトクリニックで休んで、すぐにアハラキバラ島に行ったので二人に会っていない。
「なになに? 九時に私たちの家に集合なのだーって、今何時だ??」
時計を見る。 九時三四分。
「大遅刻じゃんか」
ピロリん。
「えーと、エオ早く来ないと、ちんち○ちょん切るよって怖すぎるわ!」
一〇歳の女の子って、こんなに怖いのかしら?
エオは支度を終え、全速力でメウ&ビス家に向かった―。
「もう、遅れすぎなのだ! 待ちくたびれて、腸が煮えくり返るのだ」
「ビス? 意味わかって使ってる?」
「おなかすいたのだー」
やっぱりわかってない。
「エオ、もう、準備は整っているぞ」
「準備??」
「いいから」
メウに右手を引かれ。
「来るのだ」
ビスに左手を引かれ。
家の扉を開けば、パーティーの始まりだ。
豪華な料理に飾り付けされた部屋、そこら辺の結婚式には決して引けを取らないほど、綺麗で華やかだ。
「エオ、お疲れ様だったね!」
「あぁ、キャロル!」
金髪美少女ことキャロル。何度も何度もエオを助けている、ソラーノ島の花嫁候補の一人だ。
エオにとって命の恩人以上の存在で感謝してもし切れないほど、お世話になっている。
お世話になっているのは、キャロルだけではない。
「おぉ! 昨日引っ張り回したのに、元気で、安心したぞ……」
「え、あー、はい……」
ホルセ。ソラーノ島唯一の医者で、ヲタク。
そして、昨日一緒にヲタクの祭典、ヲタフェスに行き、帰り道で……。
「あ、あの件は忘れてくれていいからな? 本当に」
「いや、忘れません」
「え?」
「忘れずに、ピースを愛します」
「……ふっふはは! エオは欲張りなだな? 私も年の割には、良物件だと思うぞ?」
「やっぱり、ホルセさんは笑っているほうが素敵です」
ホルセは少し頬を赤らめて、一言。
「やっぱり、エオはエオだな」
「なんですか? それは?」
ちょっと格好つけたのに笑われるのって、予想以上に恥ずかしい。
「いいんだ、それより、今回の祝賀会の発案者から、プレゼントがあるって」
「発案者?」
二人の少女が小さな手で何かを握り締めている。
メウが持っているものは音声データを組み込めるルービックキューブに似たものだ。
エオは一度見たことがある。
ビスが持っているものが、よく見えないが、あの小さな手に収まる程度のものだ。
「これ、メウとビスが用意してくれたのか」
「うん」「そうなのだ」
「ありがとう、本当に嬉しいよ」
二人の頭を撫でた。
二人とも温かくて、シャンプーの香りと太陽の匂いがして、ロリコンが更に進むと厄介なので、早急に頭から手をどかした。
「で、それはなに?」
「ここで一つお願いがあります」
メウが真剣な表情でエオを見つめた。
「な、なにかな?」
「私たち二人をお嫁さんにしてください」
「え? えええ?! いいんですかぁぁぁいいい!!!!」
エオのロリコン魂に火が灯った――。




