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出身地と気絶

「いやー、すまないね、わざわざ、着いてきてもらって」

「いえいえ、ご飯奢って頂いたので、このぐらいは全然いいですよ」


 エオとグレイは船を降りた後、ホルセのいるマサルトクリニックに向かった。

「でも、びっくりしましたよ、グレイさんもソラーノ島出身だなんて……」

「そうか? この島で幼少期は過ごし、薬学を研究するため、様々な島を周っていたんだ」

「へぇー、あ、もしかして、世界地図とか持ってます?」

「あ、うん、それは勿論。エオくんのステータスに送ろうか?」

「助かります!」


 エオはこの世界について知らなくてはいけない。

 これからも、きっと、世界を飛び回る機会があるからだ。

 事前にその土地の情報を知っておくことは大切だし、最低限、場所を把握しておきたい。


「なるほど、ソラーノ島を中心として、グレンドラン島は北方面なんだな……」

「そうだけど? 知らなかったのか?」

「あー、はい」

「そう思えば出身地はどこなんだい?」

 この時が来てしまった。

 いつかは聞かれると思っていた質問だ。しかし、答えが見つからない。日本って言ったところで通用しないし、魔法やスキルがあっても異世界転生や転移を信じてくれるとは思えない。ましてや、妖精の力によって転移したなんて言ったら、妖精の存在が広がっていしまう。それはかなり厄介だ。


「ん? どうしたんだ?」

「その…………」


 万事休すか。

 そう思われた時だった―。


「グレイ……?」

 その声の主は買い物袋を持った、ホルセだ。

「おう、久し振り、だね……」


「本当にグレイなんだな……」

 ホルセは買い物袋を地面に落とし、グレイに一直線。

 感動の再開。

 のはずだった。


「バッキョンっ!」


 グレイは宙を舞った。

「え?!!」

 

 エオもつい、声が漏れる。

「バカグレイが! いつまでほっつき歩いてるんだよ、一年で帰ってくるって言ったじゃないか!」

「…………」

「五年だぞ? お前がこの村を出て行ってから…………」

「…………」

「死んだのかと何度、思ったことか、グレイ、わかっているのか?」

「……」

「なんで何も言わないんだ!」


「いや、ホルセさんのせいですよ! ぶん殴るから! 死んだか心配したことは察しますけど、殴って死んでしまったら、元も子もないですって!」

 胸倉をつかんで、気絶したグレイを揺らし続けるホルセをエオは何とか、抑えた――。




「ふう……」

 夕方頃、マサルトクリニックから、やっと患者の足が途絶えた。

「今日は忙しかったな」

「本当ですよ……

 船から降りて何時間ぶりに座っただろうか。腰も足も疲労で笑っている。ステータスで確認したら体力は残り4パーセント。このままだと、エオがお世話になってしまいそうだ。

「エオ、今日はここで休め、もう時期グレイも目が覚めるだろう、きっと……」

 結局、グレイは気絶したまま、ずっと眠り続けている。

 本当に死んでしまったのだろうか。不安だ。


「あー、エオ、それとだな、って、もう、寝たのか」


 エオは数秒で眠りについた。


「まぁ、あれだけのことを成し遂げんだ。島のみんなも大喜びだ。今日のところはゆっくり休みな」


≪ヒール―≫


 

 ホルセはエオに癒しの魔法をかけた。きっと、朝起きたら、スッキリしているだろう。



「いい魔法を使えるようになったじゃないか、ホルセ」


「グレイ……」


 気絶から目を覚ましたグレイ。


「ごめんなさい、つい殴ってしまって……」

「いや、構わないよ、それより、素晴らしい研究結果が……」

「その話はあとにしない?」

「あー、そうだな、俺も限界だ」


 抱き合う二人。


 二人の濃厚な夜は、朝まで続いた―。



次回

エオ、気まずいの巻

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