お別れと新たな目標
「で、エオくん。何か聞きたいことでも?」
「はい、いくつかあるんですけど、まずは……」
マトソムは陽気に構えている。エオにとってそれがとてつもなく、不愉快だ。
「何で、妖精たちを全滅寸前まで追いやったんですか?」
一瞬の沈黙―。
「い、いやー、エオくん、何のお話か私には全く……?」
「そうですか、じゃ二つ目です。ピースに呪いを掛け、魔物役をやらせているのは、村長ですか? あと、呪いは解けますか、今すぐ」
「…………えーと…………?」
「三つ目。これが最後の質問です。これから妖精たちと仲良くできますか?」
「…………」
「答えて下さい、村長」
「あーあーあーあー、折角のチャンスだったのになー」
「それが答えですか?」
「ウルサイ。小僧に分からんのだ。確かに妖精を駆逐したさ、でも、考えて見てくれよ。特殊能力やらで強力な力を持った、妖精が一緒に仲良く暮らしませんか? はぁー??」
マトソムは立ち上がり、エオの胸倉を掴んだ。
「信じれるわけがねーだろ? 人の心を読み、操り、惑わすほどの能力。そんな奴らのどこを信用すればいいんですかー??」
「……で……も…………妖精…………た……ちは……最後…………まで…………」
苦しい。意識が朦朧とする。このままだと、危ない。
「やめろ、マトソム。手を放せ」
そう聞こえた時には、エオの意識はなかった―――。
「おぉ、エオ。やっと目覚めたか!」
ピースがエオに抱き着く。頭がグワングワンする。
「ここは?」
エオは見慣れない家にいた。内装はかなり豪華で赤煉瓦なのにモダン調という不思議な感覚になる。
しかし、この家は一体何なのだろうか。
「ここはマトソムの家じゃ」
「あぁ、爺さんとエルゼ…………」
少しづつだが、記憶が戻ってくる。
「あ! 村長は!」
周りを見ても、マトソムの姿がない。
「大丈夫、私たちで始末した」
「もしかして? 殺したのか?」
「いや、そんなことはしない。ただ、操って悪事を全て、告白させただけだ」
「こんな短時間で?」
「実はなエオが倒れてから、既に十二時間は経っているんじゃ、起きたばっかりでまだ良く分からないかも知れないが……」
「ずっと私たちで看病してたんだからね」
その声の方を向くと。
「キャロルじゃないか、なんでここに?」
「ピースに呼ばれたのよ、私たちはこれから、大事な用事があるから、エオのことをよろしく頼むってね」
「エオ、目が覚めて良かった……」
「ホルセさんまで……」
まだ、頭の整理が追いついていないが、これで、ピースは無事に暮らせる。
「ピース、家に帰る……か……?」
そこにはピースの姿がない。
爺さんもエルゼの姿もない。
一枚の手紙がひらひらと落ちてきた。
エオへ
エオとの五日間は本当に楽しかった。
毎日ずっとイベントを開催しているかのように、色んなことを体験させてもらった。
エオがいたから、私たちは生きている。
実は私たち妖精はあまり長い間その島に滞在出来ない。
私が人間と共存出来ていたのは、呪いのせいだ。
しかし、呪いがなければ、エオとも会えなかったのだから、不幸ではなかったな。
しかし、私たち要請が人間と暮らすにはまだまだ改善が必要だ。
詳しくはキャロルとホルセに伝えてある。
それが可能になるまで、しばしのお別れだ。
永遠じゃないぞ?絶対また会いに行く!
P・S その時はエオの魚料理たらふく頼むぞ!
「ありがとうピース……」
エオは手紙を抱きかかえながら、ホルセとキャロルに注目した。
「二人にお願いがある」
エオの新たなる目標が決まった瞬間だった――。




