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消失と人間

「どういうことだよ? 爺さんとピースが妖精?」

 あまりにも強い衝撃で、エオの頭は混乱している。


「まぁ、落ち着いて、説明するから……」

「落ち着いてられるか、なんでピースが魔物なんだよ! 爺さんと一緒なら妖精だろうが、可笑しいだろ?」

「…………」

「それに、妖精だか、知らないけど、爺さんとピースは仲間なんだろう? なんで、そんな、平然としてるんだよ!」

「…………」

「何とか言えよ!」


「落ち着けと言っておるじゃろが!」


 爺さんの怒鳴り声にエオは静かになるしかなかった。


「エオ。ワシらだって、ピースが大切じゃ。だからこそ、お前を呼んだじゃ」

「僕を……?」

「そうじゃ、葉っぱを拾ったあの日から、いつかは話すときが来ると分かっていたのだが、こんな早く来るとは……」


「爺さん、教えてくれ。この島の全て、出来る限りでいいから……」


「分かった」


 爺さんはコホンと咳払いをして、神妙な面持ちで語りだした。

「ソラーノ島は元々、妖精一族が暮らしていた。人間と交わることない秘境の地だった。しかし、文明の発達でこの島も人間と暮らすことになったのだが」

 爺さんの目に少しだけの涙が光った。

「人間どもは好き勝手して、妖精族を滅ぼそうとした。仲間たちはどんどん息絶え、結局、残ったのはワシとピースとエルゼだけじゃ」

「エルゼ……?」

「エルゼ、こっちに来なさい」

 爺さんが呼ぶと、二階から女の子がゆっくりと降りてきた。

「え、なんで二階から?」

「ワシらはこの上の異空間で身を潜めておる。だから、二階からのほうが近いんじゃよ。そんなことより、覚えているかね?」

「あ、この子って」

「お久しぶりです」

 葉っぱの爺さんを拾った時にいた子だった。


「話を続けるとするかのー」

「あ、あぁ」


 エルゼについても色々聞きたいが今は、それより優先すべき問題がある。

「生き残ったワシらは人間を恨んだ。しかし、このまま、人間を滅ぼしても仕方ない、それは絶対にしてはいけないことだと三人で話し合って決まった。だから、これからは共存してほしいと頼んだのだんじゃ」

「でも、人間はまたも私たちを……!」

 エルゼは悔しそうに拳を震えさせている。

「結局、妖精を魔物と主張し、魔物を封印しようとした。しかし、ワシらは封印をどうにか食い止め、鍵をバラバラにして、人間の心に植え付けたんじゃ、エオも知っての通り、その鍵は誰かを幸せにしないと、手に入らない。もし、そんな幸せを手に入れることが出来る者がいてくれれば、ワシらも黙って封印されようと。そして、ピースは人間として妖精に関する記憶を全て消失させることを引き換えに、自分の鍵の保有者として、この島で暮らすことを決意した」


 エオは理解した。


「でも、結局、よそ者扱いされ続けたんだな、ピースは……」

「そうじゃ、見るに見兼ねたワシらは、仕方なく、他世界から心が綺麗な人間を、この島丸ごと幸せにするぐらいの力を持った者を召喚するしか、なかったんじゃ」


「それが僕なの?」

「そうじゃ、すまんが、この通り、妖精族を。島を救ってやってくれ」


 爺さんは頭を下げた。エルゼも続いて頭を下げる。

 エオの答えは―。


「いやいやいや、荷が重いですよ、僕じゃ!」


「え、エオ?」


「でも――」


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