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プチトマトと妖精

「お待たせ……ってあれ? ピース?」

 農作業を終えて、喉が乾いたので水を持ってきたのだが、さっきまでいたはずのピースが居なくなっている。

「どこ行ったんだろう?」

 エオは周りをきょろきょろと見渡したが、姿は見えない。

「探しに行くか。いや……」

 エオは探しに行くことを止めた。

「ピースだって一人になりたい時間があるだろうし。そうだ、確か、家にまだピースが釣ってくれた魚が余ってたはず! 美味しい料理でも作って待ってようーっと」

 

 エオは疲れた体を奮い立たし、料理に取り掛かろうとした時、ピースはマサルトクリニックにいた。


「こんなスキル初めてみた……」

 ホルセはピースのステータスを興味深く、覗いていた。

「異性にモテモテスキルか、まぁ、でも良かったじゃないか」

「何がいいんですか?」


「これを使えば、エオに好かれるじゃないか?」

「え、エオ? 何で、ですか?!」

「え、好きな何だろう? エオのこと?」


「……まぁ、はい…………」

 ピースがプチトマトのように真っ赤になっている。


「じゃ、これを使えば、一発だろう? 確信はないが、このスキルに似たもので家畜懐かれスキルとかペット奴隷スキルとかあるから、それらの人間バージョンと考えるのが、ベタだろうし」

「なるほど……」 

 相手の好感度を底上げさせるスキルは少ないが何種類か存在している。

「にしても、ピースはコロコロスキルが変わるな、強化されることはあっても、種類が全く違うものになることは珍しいのだが。あ、話は変わるが、性欲のほうは大丈夫か?」

「あー、はい。薬の効果と慣れでどうにか」

「あんまり、薬飲み過ぎるなよ? 呪いが解け、性欲が湧くことは恥ずかしいことではない。むしろ、自然な流れだ」

「はい……」

 ピースは鍵が無くなって、性欲が異常に増した。今まで溜めていたものが爆発したように、いつもいつも、エッチになってしまう。

 エオに嫌われまいと抑えてはいるのだが、正直、限界だ。

「丁度いいじゃないか? このスキルを使って、エオを襲ってしまえ」


「そ、そんな、ことは出来ないですよ……」

じゅるり

「否定してるのに、涎出てるぞ?」

「あ、いや、これは、えへへ……」

 ピースの妄想は加速していくばかりだ。


「今日は家に帰って頼んでみな? エッチが嫌いな男なんていないのだからさ」

「はい!」


 ピースはスッキプしながら、エオの待つ家に向かった。


 その頃エオ家では―。

「上手そうじゃのー? ちょっとだけ?」

「爺さん、つまみ食いすな」

 

 久し振り?に葉っぱの爺さんが来ていた。


「あ、そうだ爺さん。呪いについて聞きたいんだけど?」

「お? なんじゃ?」

「鍵を集めると魔物を封印することが出来るって聞いたけど? 魔物はどこにいるんだ?」

「へ? 一緒に住んでるじゃないか?」

「え?」


「だから、ピースじゃ。魔物は」

 淡々とした口調で話す爺さん。


「いや、そんな訳ないだろう? だってピースは……」

 優しくて、思いやりがあって、傍に居てくれて。

 本当に素敵な女性なんだ。

 しかし、どれ一つとして、ピースが魔物であることを否定する要素ではない。


「お主も知っての通りだが、ピースの特殊能力は強大な力じゃから、この島で忌み嫌われていた。ただ、理由はそれだけではない」


「他の理由って?」

「ピースには親族はいないのをいいことに、ピースに呪いを植え付けたやつがいるんじゃ」


「???」


「ピースは元々、ワシらと一緒でこの島に昔から住み着いている、妖精じゃからの」


 今日の夕日は真っ赤で、何だか不気味だ―。



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