400Gと異性モテモテスキル
エオは島の中心部に当たる地方―ミルキー地方のメインストリートにあるケレルン種屋に来ている。
「…………」
「…………」
二人はここに辿り着くまで、ほとんど会話がなかった。
ピースからの急な口づけ。エオは上の空だ。
「お、エオくんじゃんか、ピース見つけたんだ」
「昨日はありがとうございました」
ピースを探しているいるときに、このケレルン種屋にも寄っていた。
その時、協力してくれたお姉さんだ。
「物凄い焦り様だったから、何事だと思ったよ。喧嘩でもしてのかと思ったけど、今はそんな感じでもなさそうじゃん?」
「えぇ、お陰様で」
「そりゃ、良かった、んで、何をお探しで?」
「あ、えーと、作物を育てようかなって思ってて。おすすめとかあります?」
「それなら、ランダム種袋とどう?」
「それは??」
「まぁ、色んな種がランダムで入っているんだけど、初心者・中級者・上級者って三つの袋があるんだよ。まぁ、初めてなら、ビギナーでいいんじゃないか? おまけにしてやるよ」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃ、合計で400Gね」
「……」
「ん? どうした?」
「えーと、一銭もないです」
「え?」
「いや、お金持ってないです……」
「え、本当に?」
「はい」
「……」
お姉さんも驚愕で言葉でない。
「はい、400Gです」
横からピースがお金を出した。
「あ、お、丁度ですね……」
「行こうか、エオ」
「う、うん」
二人は店を後にした。
「いやー、エオくん、お金もないのに買い物って、まぁ、引っ越したばかりだから、仕方ないかもだけどさ」
「それよりも、僕はピースに驚いたよ」
「あ、パパ」
「コーヒーいれてくれるか?」
「はいー、それはそうと、確かにピースは変わったね、人のために何かをするってこと自体、有り得ないことだったのに」
「噂によれば、ピースの特殊能力が消えたらしいぞ」
「本当に?」
「まぁ、今度、エオくんに聞くとしよう」
二人は朝食の準備を始めた。
「さっきはありがとう、ピース」
「全然いいですけど、お金全くないのに買い物行こうって良く思いましたね」
「いやー、ほんと」
エオは恥ずかしそう笑った。
「たまたま、私がお金持っていたからいいですけど、この借りは返して下さいよ?」
「はい、肝に命じておきます……」
エオに取って、この借りは一種のモチベーションになる。作物作りを成功させる、その思いがより一層強くなった。
「それはそうと、感想とか、何か、ないんですか?」
「感想??」
「き、キスのですよ……」
「あ、え、その……」
「もう、いいです」
ピースはそっぽ向いてしまった。
「ピースごめんって……」
「ふんっ」
ピースが速足で歩く。エオはそれに必死でついていった。
急にピースが立ち止まる。
エオは必死について行ってたので、危うく、ピースの背中にぶつかりそうになった。
「焦りました??」
ピースがニヤリとした。
「えーと、はい、かなり……」
「冗談ですよ、怒ってないです! それより、早く帰って、種まきしましょう?」
「もう、ビックリしたよ」
「じゃ、大成功ですね……」
ピースの無邪気さには少しだけ影があった―。
「これで終わりだね」
「はい!」
種まきは思ったより簡単だった。でも、TNGで魔力に変え、水やりをしたのだが、予想反して、水やりが大変。エオは《ステータス》で体力を確認。
「12パーセントか、だから、こんなに疲労がたまっている感じするのか……」
「私も疲れましたよ、私の体力ゲージは…………??」
ピースが固まった。
「どうしたの??」
「え、いや、何でもないですけど……」
「そう? それならいいけど。喉乾いたから、ちょっと水持ってくるよ」
「…………うん」
エオは家の中に戻った。
「ホルセに相談しよう…………」
ピースはステータスでスキルに新しいスキルがあることに気が付いてしまった。
「なんで、急に…………」
ピースのスキル欄には【異性にモテモテスキル】と記されていた―。




