ヒーローと戦い
「ここも違う……」
エオはピースを探して、ハロニー漁港とケレルン種屋を訪ねたが、どちらにも居なかった。
「残るは、ブレンド牧場か」
地域的にソラーノ島の末端に位置する、カプチーノ地方。そこに広がる広大な草原。
「風が気持ちいいー」
それが、ブレンド牧場である。
「まずは、人探しだよね……」
パッと見で誰もいない。
酪農品の販売は遠くにちょこんと見える小屋で行っているらしい。
「よしー、走るぞ!」
エオは久し振りに全力疾走した。
「疲れた……」
調子に乗って走り回ったせいで、体力が底をついた。
「あ、そうだ。確認しないと、倒れてしまう」
《ステータス》
「残りが、36パーセントか……」
別に直ぐに尽きる訳ではないのだろうが、何とも不安な数字。スマホの充電気にしちゃうときの感覚とかなり類似している。
「うーん、ピースいないな……」
小屋まで辿り着いたが、ピースを見つけることは出来なかった。
「困ったな、もしかしたら、何処がすれ違っていたのか?」
エオが途方に暮れていると。
「こら、お前たち!」
「この声は!」
ピースの声だ。
エオは声が聞こえた方にを駆け足で向かった。
「あれか!」
小屋先の大きな一本の木の下で少年と少女が喧嘩している。小学生高学年ぐらいだろうか、五人いるが、四人が一人をいじめているように見える。
「一人に寄って集って恥ずかしくないのか!」
その一人の女の子を必死で守るヒーローがいた。
ピースだ。
「やっと見つけよー、ピース! おーい!」
エオは手を広げ、ピースの方に向かう。ピースも気付いたのだろう。驚いた表情をしている。
「なんでここにいるの、エオ?」
「いや、まぁ、なんだ。探してたんだよ」
「帰りが遅くなったことはお詫びしますけど、私は子供じゃないですよ」
「いや、そうじゃなくてだな、謝りたいことがあっ……」
「ごちゃごちゃ、うるせーぞ、小僧」
小学生ぐらいの男の子から小僧と言われる日が来るとは思わなかった。
「まぁ、まぁ、何があったかは知らないけどさ、あんまり喧嘩せず、仲良く出来ないかな?」
「出来ないね、そいつのせいでこの島に呪いが掛かったのさ。そのせいで、他の島の奴らからは馬鹿にされるし、みんな散々迷惑してるんだよ」
女というのはきっと、ピースの後ろに隠れている女の子を指しているのだろう。
「うーん、じゃ、こうしよう。僕が呪いを封印出来たら、この子をいじめないっていうのは?」
「お前なんかに封印出来るのか?」
「うん、やるだけやってみるよ」
四人の子供たちは話し合いを始めた。
「分かった。お前の条件を呑んでやろう」
「ほんと?」
「ただし、俺らに勝負で勝てたらな」
「勝負?」
「あぁ、お前が封印出来るほどの能力があるかを証明しろ!」
こうして、戦いの幕が切って落とされた―。




