二号店と独り言
雑貨屋ヒマワリにて。
「それはね、私の店を隣の島にも作ることよ!」
「まじ、で??」
「大マジ!」
キャロルの魔力が淫力に変わった原因が呪いのせいだとするならば、鍵を手に入れることが出来れば、元に戻る可能性は高い。
そのためには、キャロルには幸せになってもらわないといけない。
しかしー。
「それって、直ぐには無理だよね……?」
店を経営するだけでも、十分に大変なのに二号店を造るとなると、一筋縄ではいかない。
正直、どれだけ時間があっても足りない。
「まぁ、でも、私の願いはその二つぐらいかな? だから、私の鍵は後に回しなさいよ」
「わかってたのか?」
エオはキャロルの願いを叶えて、鍵を手に入れたいと考えたのは、ホルセが正常の性欲に戻ったように、キャロルも溢れた性欲が落ち着くかもしれないからだ。
しかし、キャロルにはバレバレだったようだ。
「当たり前でしょう? そもそも、それをエオに教えたの私でしょ? しかも、エオは鍵を既に二つ手に入れてることも、この島の何人かには広まってるし」
「そうなのか……」
「女の幸せは結婚とか、子供とかだけど、それが全てじゃない。そのことは私も分かってるんだよ、ただ、やっぱり、性欲が邪魔してそういう思考回路になっちゃうのよね? 困ったもんだよ。どうにかしなくちゃだけど」
キャロルもきっと、苦労している。
エオとしても出来るだけ、キャロルには幸せになって欲しい。というと言い過ぎだけど、困ってる人をほっとくのは、性に合わない。
それに、ピースも特殊能力のせいで、浮いていた、話があった。
性欲が無くなったこの島で、キャロルはピースと同じ状況なのだ。
ピース……?
「あ! ピース!!」
エオは本来の目的を思い出した。
「あー、エオの彼女ねー」
「違うよ、あれはピースが、なんか、その、パニックって」
「私はピースのことあまり、よく思ってないのよ。能力があるからって人の本音を読み取るのは、私達からしたら、やっぱり、少しだけ嫌だよ」
それはそうかも知れない。
ただ、そうじゃない。
ピースは陥れようとしてる訳では無いない。純粋なのだ。
「キャロル、でも、俺はピースが好きだ」
キャロルは驚いた表情をしたが、すぐにニヤリと笑った。
「相思相愛かな??」
「そうじゃないよ、てか、ここに来てないか? ピース?」
「いや? 来てないわね?」
「そうなのか……」
「なに? ピースに買い出しでも頼んだの?」
「いや、まぁ、色々あってな。他に買い物できる場所わかる?」
「うーん、まぁ、魚ならハロニー漁港、種とか苗ならケレルン種屋、後は、酪農品ならブレンド牧場、このぐらいじゃないかな? 他島ならまだまだあるけど、この島の中じゃ、この辺かな?」
「分かった! ありがとう!!」
エオは店を出ようとすると。
「まって!」
キャロルが呼び止めた。
「なに?」
「あの、ね。気が向いたら、しっかり、相手を、して、欲しい見たいな……?」
「ん? どういう事?」
「……いいですよ、エオはそういうやつだもんね、ほら、さっさとピース探しきな」
「おうよ! 行ってくる!」
エオは雑貨屋ヒマワリを後にした。
「はぁー、もう、エオは何というか、本当に男なのかしら? エオも実は呪いかかってるんじゃない。引っ越して来たばっかりなのに……」
キャロルはぶつぶつ独り言を言いながら仕事に戻った。
「うーん、何処に居るんだろう?」
エオは何処から探すか迷っていた。本当はマサルトクリニックで待っていればいいのだが、昨日、ピースの恥ずかしい姿を見てしまった、と言っても、実際は見てない。しかし、ピースは見られたと思っている。
この事実と謝罪を少しでも早く伝えたい。
じっとしているのが何となく、我慢できないのだ。
「漁港は、エドワード商店街の端だから、ここから近いな、よし!」
エオはハロニー漁港に向かったー。




