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鈴木拓真とピース

「…………やっぱり、エオはピースを選んだのね」


 全てが終わった後、キャロルは目が覚めた。

 エオはもう、ここにはいない。

 しかし、今回の事件の黒幕、シル・メッキガーデンを撃ち取り、一旦は解決したと言えよう。


「…………あぁ、エオは本当に勇敢で、優しい、男だった」


 ホルセも呟く。


「会いたいのだ! エオに会いに行くのだ!」

「…………うぅ、私も会いたい」

 

 メウとビスはかなり暴れている。

 そりゃそうだ。

 戦いが終わり、皆、無事に帰ってきたと思えば、最愛の人がいないのだから。


 ソラーノ島の住民たちの多くはエオがいなくなった事実を悲しんだ。

 スパルシアはその度に謝っていたが、責めるものは誰もいなかった。

 結局、あの時、聖域を使用しなければ、敗北していたかもしれない。その事実は戦闘に参加したものなら、肌で感じているはずだ。

 そうじゃなくても、ここいる彼らの姿を見れば、納得しざる負えない。


「…………いつか、こうなるんじゃないかって思っていたわ。それで、エオは何処に向かったと思う?」


「それはわしから話そう」


 その問いに答えるのはジーゼルだった。

 ジーゼルの展開によれば、エオは元いた世界に戻ったのだという。


 ここいる住民がエオが異世界人であることを知っていたわけではないが、驚いた者よりも納得したように頷く者が多く、エオの数々の偉業や実績という点が線で繋がっていくような、そんな気さえしている者もいた。


「それで、鍵はどうするの?」


 一応、花嫁たちに掛けられた呪いの鍵は、全て回収し終えた。


「ピースがいない、世界で、その鍵はただの鍵でしかないの。わしもそれからは呪いは感じない」


「…………そう、なのね」


 折角集めたのに、キャロルは無駄足を食らってようで少しがっかりしていた。


「…………向こうの世界でも二人は上手くやっておるかの?」

「きっと、やってるさ。だってあの、エオだぜ?」


 グレイは自信満々にそう答える。

 それにここにいる全員が頷いた――。


「ピース、どうして?」


 マンションの一室でエオ、いや、この世界では拓真という名前の少年は目の前に鎮座するピースに問いただした。


「どうしてとはひどいじゃないか、全てをリセットして、駆け付けたのに」

「リセット…………?」

「あぁ、私は妖精という地位も、あの世界の存在という事象も、全て捨ててきたのだ。この世界で私はただのヒトだ」


 難しい言葉で、エオの頭は混乱しているが、


「つまり、ずっと、ここにいるってこと?」


 かなり端的に捉えた答えを導き出した。


「あぁ、そうだ。これからはずっと一緒だ!」


 ピースは抱きついてきた。

 それに耐えられず、拓真は後ろに倒れる。


 そうか。

 夢じゃなかったんだな。


 そう実感するには十分すぎる出来事だ。


 ぷるぷるぷる。


「何の音だ?」


 携帯が鳴り響く。

 拓真はスマホを開き、電話に出ると、


「××高校の者ですが、拓真さんの電話でお間違いないでしょうか?」

「……はい」

「今日の入学式は欠席されていたのですが、どうかされましたか?」

 

 すっかり忘れていた。

 

「あ、すみません。ちょっと、困っている人を見つけたもので」

「そうですか、時間があれば今日中に学校に来て頂けると、助かります」

「はい、行きます」

「お待ちしております」


 そう言って、電話を切った。


「それ何?」

「あぁ、これは携帯…………って、これからどうすればいいんだ?」


 ピースがここに居ることは嬉しい。

 しかし、学生と言う身分で二人暮らしなんてできるのだろうか。

 親からの仕送りにも限界があるだろうし。


「私は、働くよ!」

「まじ?」

「うん!」


 こうして、フリーターピースと高校生鈴木拓真の同棲生活が始まった。


 この後の二人の人生が思わぬ方向に進んでいくのだが、それはまた別の話。



                                   おわり


長い間、読んで頂きありがとうございました。

今回、初めて小説を書いたので、至らない点も多く、度々自分事で休んでいたので、かなりの迷惑をおかけしたと思います。

なのにも関わらず、読んで下さる方がいてくれたことに深く感謝申し上げます!

次回作はちょっろとだけ、書いているので、それの続きを書いていきます!

良ければそちらの方も読んで頂けると幸いです!


それでは、また、何処かでお会いできる日を夢見て!



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