ケミッカトリッチとエオと仲間part1
「お前が私の最高傑作だ」
シル・メッキガーデンは不敵に笑う。
最高傑作と謳われた、少女は嬉しそうに笑った。
「これから、お前の妹を作り出す、お前の遺伝子を持ったクローンはきっと、私の期待に応えてくれる、そうあのろくでなしとは違ってな。くくく、自然エネルギーは最高だな」
メッキガーデンは高らかと笑った。
「時期にマッカザージルがここに乗り込んでくるだろう、その時はお前も戦ってくれ? いいな?」
「はい、お父様」
少女は頷いて、メッキガーデンの命令に従った。
「君は、シル・ケミッカトリッチだね?」
シルは引き攣った笑顔でそう尋ねた。
「えぇ、ろくでなしのお兄様」
「その口ぶりってことはメッキガーデンに何か悪知恵でも叩き込まれたのかな?」
「ふふ、お兄様が大いなる研究から逃げ出し、善人ぶった行動を繰り返していることは知っています」
「…………善人か」
どうやら、シルは目の前の少女、四人いる内の一人とは顔見知りらしい。
敵としている以上、当たり前だが、険悪なムードに包まれて、エオが知らない何かがあるようだ。
「君も知っているとは思うけど、メッキガーデンは禁忌に手を出したんだ。妖精の力を借りて、自然のエネルギーを無理矢理な方法で利用しているんだ」
「知っている、とても、良く、ね」
シルは顔を顰めている。
ケミッカトリッチは不敵な笑みを浮かべ、口を開いた。
「ここいる三人はお兄様の複製体ではありません、私の、それも、自然エネルギーを応用した、最高傑作なのです」
そう言うと、三人の複製体が武器を取りだす。それぞれの身体に合った、剣を持ち、構えている。
ケミッカトリッチの両サイドには甲冑を着た複製体。顔はオリジナルと全くと言っていいほど同じだが、身長は大きめだ。
しかし、その二人より遥かに大きいサイズの女が、ケミッカトリッチの後ろに佇んでいる。正直、かなりの圧迫感だ。
そんなことよりもエオが気になっていることは、
「ピースたちは無事なんだよな…………?」
それだけだ。
「えぇ、今のところは。でも、大分、自然エネルギーを吸収していますから、命が尽きるのも時間の問題です」
淡々と語るその口調に、感情は感じない。
酷く冷たいそれにエオの身体は怒りで震えた。
それと同時にゴルゴラーダの時に感じた、あの感覚が襲ってくる。
エオは魔法の使い方をマスターしたわけでない。
だが、今ならできる。
目の前の四人をぶっ飛ばすことが。
できる。
「……いける!」
エオの声に反応するように、グレイ、ホルセが前方に駆ける。
それを察して、ケミッカトリッチの両サイドの複製体が剣を振るうが、二人は見事に避ける。
その隙にイレブンが攻撃を放つ。
「鉄の(・)雨!」
空中に鋭利な刃をした短剣が四人を襲う。
ホルセとグレイは囮だったようだ。
「エオくん! 未だ!」
シルの声にエオは、
「爆ぜろ!」
と叫ぶ。
その声に合わせて、ケミッカトリッチの周辺は爆発を起こす。
「…………やったかの?」
スパルシアはその呟く。
しかし、そんなに甘くはないのだ。
「……この程度じゃ、傷一つ、つけれません」
ケミッカトリッチは冷酷な瞳でエオを見つめていた――




