アルとグレイとホルセpart7
「イレブンだっけ?」
「はい、イレブンですよ?」
グレイはホルセを背負って、アルと共に次なるステージへと向かっている。
長い階段を数分歩いているが、今だ目的地は見えない。不安だ。
不安要素はそれだけではない。何故か、イレブンが同行している。さっきまで敵だったはずなのに、こんなニコニコ顔で隣にいられると、気味が悪い。
「何でついてくるんだい?」
「何でってさ、上にいるのは僕のお兄ちゃんなんだよ? 僕以上に遊びに情熱を注いでる自慢のお兄ちゃんなんだよ」
「それで?」
「楽しいことかが起こる予感だから、行かない方が可笑しいでしょ?」
イレブンの兄で、トゥエルブはイレブンよりも遊びが大好きだ。どんな時でも楽しいことを優先する兄をイレブンは誇りに思っている。
「……まあ、いいけど」
グレイは若干の気まずさを感じつつ、イレブンの同行を拒否することはなかった。それに、この短時間で分かったのはイレブンには攻撃する意思がないということ。
それはこの場において、本当に大切なことだ。
いつ何が起きるか分からないある種戦場において、危険が及ばないという事実は本当に行動しやすくなる。
「それで、イレブンの兄はどこにいるんだい?」
「この階段を上がり終えた先にいるよ?」
「だよなぁ、だと思ってた……」
この階段はいつまで続くのだろうか。
「…………それで、フォース、これは一体何の冗談なんだ?」
「冗談? いやいや、僕は本気だけど?」
「……そうか、僕はもう、無理みたいだね。でも約束してくれないか?」
「何だい?」
「弟には――」
「……その約束を交わすことは不可能だね、だって、全員殺すから」
「…………許さ…………な……い…………」
「もうすぐだよ!」
イレブンはルンルンにステップを刻み、階段を上っていく。
「グレイ、変わりましょうか?」
「あ、いいよ、アルも疲れてるだろう?」
「い、いえ。そんなことはないですけど……?」
「無理をするな、骸骨たちとの戦闘はアルのお蔭で勝てたんだ」
「まぁ、あの玩具はただの脅かしのつもりだったのに、君たち全然戦わないからさ、お兄ちゃんとどうしよかって悩んでたんだよ?」
イレブンは相変わらずの調子で、そう、呟いた。
グレイにとっては命懸けだったのに、仕掛けた本人がこの調子だとかなりイラっと来るものがあるが、今はその怒りは抑えておこう。
そんなことより、グレイは長い階段を一人の人間を抱えながら、歩いている。
どんな体力の持ち主でも疲れないわけはない。
ホルセもなかなか目覚めない。
「あ、あの扉の先だよって? あれ?」
「どうしたんだい?」
「可笑しい、お兄ちゃんの気配がない……」
イレブンは駆け上がり、扉を開く。
グレイも後ろから追いかける。
「はぁはぁ、やっとついた、イレブン? トゥエルブはいたかい?」
「やぁ、グレイ、ホルセ、アル、そしてイレブン」
グレイはこの時直感で理解した。
そこにいるのはトゥエルブではないのであろうと。
そして、無残に転がっている、血塗れの死体がトゥエルブであろうということに。
「私はフォース、今から君たちが協力して倒す、強力な敵です」
先程までの楽しい雰囲気は、一瞬でなくなった――。




