アルとグレイとホルセpart5
「あははっ! そんなびっくりしてもらえるなんて、嬉しいね!」
カボチャの被り物を外すと、そこにはシル・マッカザージルとそっくりな人物がいた。そっくりというのは、顔やスタイルは同じだが、髪の毛の色が余りにも違う。シルは白髪だが、目の前の少年は金髪をしていた。
「……お前は誰だ?」
グレイは倒れたホルセを抱き寄せながら、睨む。
風貌もそうだが、何より、危険な魔力を感じる。グレイは魔法のセンスは人並みで、魔力察知能力も高い訳ではない、でも、目の前の男から放たれる、圧倒的威圧感。へらへら笑っている表情は不気味だと言わざる負えない。
「僕は、イレブン! このフロアのマスターさ、洞窟お化け屋敷は楽しんで頂けたかな?」
「あぁ、見ての通り、酷く楽しんださ……」
嫌味を言い返してみたが、正直、かなりピンチだ。
アルの魔力は底を尽きかけているし、ホルセも気絶してしまった。
グレイ一人では勝てる相手はないし、このまま、戦闘になったら、そう考えるだけで緊張が走る。
「まぁまぁ、そんな気張らないでいいよ。僕らは戦うつもりはない、少なくとも今はね」
含みのある言い方ではあるが、その言葉は信用できる。
何故なら、この状態になっても、攻撃してこないからだ。何か、目的は他にある。
「ここはみんなが笑顔になるテーマパーク、鉄の花園だよ! 楽しまなくちゃダメダメ! ってことで、僕たちと遊ぼう?」
ただ、その目的は何なのかは分からない。分からない以上、グレイたちはイレブンの提案を受け入れしかないのだ。
「分かった、何して遊ぶんだ…………?」
「いいね! ノリが良い人大好き! それじゃ、これで勝負しようか?」
イレブンの合図と共に地表が盛り上がってきた。
「なんだこれは……?」
そこから現れたの楕円形をしたちょっと特殊な形をしたテーブル。
「僕が勝負するのは――ブラックジャック21、勿論、僕がディーラーね」
ブラックジャック。
カジノでは人気の高いトランプゲームだ。
ディーラーが自分とプレイヤーにカードを配る。ここで言うなら、イレブンがディーラーでグレイがプレイヤーである。
そして、手札の合計数が「21」に近い方が勝ちというシンプルなゲームだ。
グレイは世界を旅する中でこの手のカジノゲームは何度も経験している。
勝てる、そう、思っていた。
「それで、これに勝てば、俺らを見逃してくれるのかい?」
「僕は見逃すさ、勝てればね?」
僕は。ということは他にも誰かいるのだろうか。不安要素が絶えない。
「それで、俺は何を掛ければいい?」
「うーん。あ、そうだ! 折角だし、そこの女たちを掛けてよ?」
「はぁ!?」
「そっちの方がヒリつくでしょう?」
イレブンの提案にグレイは迷った。
ギャンブルにおいて絶対勝てることなんてない。二人の命を賭けるのはあまりにも危険すぎる。
「グレイ! 私は良いですよ?」
沈黙を貫いていたアルはここでグレイに語りかける。
「でも、アルを賭けるなんて……」
「大丈夫です! グレイは絶対勝ちますから! 私もプレイヤーとして参加していいですよね?」
「えぇ、勿論! 人数は多い方が楽しいですから! それでは始めましょう! 命を賭けたブラックジャックを!!」
二人はまだ知らない。
このギャンブルの本当の怖さを。
次の次でアル・グレイ・ホルセ編は終了します!
長くなってしまい、すみません!




