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アルとグレイとホルセpart2

 そこには、骸骨姿の剣士がいた。

 それも、一匹や二匹ではない。何十体もの骸骨が襲ってくる。


「グレイも逃げて!」


 グレイもアルもホルセを待たずして逃げた。

 戦ったら勝てるかも知れない。ホルセを助けるべきだ。そんなことはこの状況で考えれるわけもなく、ただ、光魔法で照らされた道を走り続けた。


「ホルセ! こっちだ!」


 前方を走っていたグレイはアルの腕を引っ張り手繰り寄せ、その後でホルセも引きずり込んだ。 

 丁度身を隠れる穴を見つけ、骸骨たちが過ぎ去るのを待つ。


「…………行ったか?」


 グレイはこっそり顔を出す。そこに骸骨たちの姿はないようだ。


「んで、ホルセ、あれはなんだい?」


「……あー、話すと長くなるが、端的に言うとやじるしがある方向は罠だと思い、逆方向に進んだ結果だ」


「うん、とても分かり易いし、僕らもどっちに行くか迷ってたところだ」


 グレイは安心していた。もし、あのまま、やじるしが罠だと決めつけ、反対に進んでいたら、無事では済まない。

 この穴に隠れられたのだって、運が良かったとしか言いようがない。


「…………なんで、逃げた?」


 グレイの安堵の表情とは裏腹に、ホルセの機嫌は悪かった。


「え? だって、ホルセが逃げろって言ったじゃないか?」


「それでも! 逃げないでだろう! グレイは私のこと好きだったんじゃないのか!」


「それとこれとは話が別だろう! それに相手の力量も分からない状態で戦うのはあまりにも、危険すぎる!」


「……」


「……」


 二人は見つめ合う。グレイもホルセも、目を逸らさない。その間、アルはおどおどするしかなく、二人の喧嘩を止められないまま、数秒が過ぎた。


「…………すまない、ただ、私は、その、あの手の奴らが苦手なんだ」


「…………俺こそごめん。今の発言は全部後付けだ、冷静な判断が出来なかっただけだ」


 二人は仲直りし、拳を軽くぶつけ合った。

 その姿に、アルは胸を撫で下ろした。


「それで、貴方は……」


 ホルセは眼鏡を光らせ、アルを見つめる。


「はい、私はグレンドランゴ島―調査・護衛部隊隊員アル・スパル・マンハッタンです!」


 狭い洞穴の中、最低限のマナーである、挨拶を敬礼しながら、行った。


「あ、そうでした、アルさんとお呼びすればいいですか?」


 確かに、ピースを助けるため、一丸となるつもりでいたが、いざ、対面で話すとやはり、距離感はある。それは、仕方ないことだ。


「いえ、気軽にアルとお呼び下さい」


 アルは爽やかな笑顔でそう、答えた。


「それじゃ、お言葉に甘えて。アルはここまで来るのに、他の人は見かけましたか?」


「いえ、見てません、グレイとは途中で合流して、ここまで来ました」


「……なるほど、結局ここがどこなのか、分からず終いだな、グレイは何か分かったか?」


「わからないけど、ただ、一つ分かったことがあるとすれば、やじるしには従う方がいいということだな」


「なんだその言い方は? 馬鹿にしてるのか?」


「ち、違う! そんなつもりは……」


 二人の会話はまるで夫婦漫才のようだ。しかし、二人は決して付き合っているわけではない。寧ろ、グレイは振られたばかりである。

 それでも、二人の関係が気まずくならないのは、二人にはそんなことでは壊れない信頼があるからだ。


「……それじゃ、取り敢えず、ここを出ますか?」


 アルの提案に二人は首を縦に振る。

 この時、アルは確かに気付いていた。

 自分の心臓の鼓動が早くなっていることに――。


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