アルとグレイとホルセpart1
「…………いてて」
最初に目覚めたのはアルだった。
周りを見渡すと岩肌がごつごつした洞窟のような場所にいることに気付く。
「はぁ、なんでこうなるのかな……」
アルはこの作戦に参加することを少し、後ろめたく思っていた。理由はスピッシュのことだ。理由はどうあれ、あのシル・マッカザージルのせいで大事な仲間死んだ。共に訓練し、幾度となく死線を潜り抜けたそんな仲間が死んだのだ。
そのシルと手を組んで、ピースとやらを助けることに本当に正しい選択なのか。迷っていた。しかし、そんなとき、リーダーであるクライドはアルにこう、言葉を掛けた。
「私は、シルという男を信用しているわけではないよ。エオを信用しているんだ」
アルにとってエオという人物は詳しくは知らない。マンドラゴラの実を一晩で実らせたという噓みたいな実話を持った、ヤバイ人、そんな印象だったが、クライドはエオを心底信じている様子だった。
しかし、アルにとってはそんな話、知ったこっちゃない。
不機嫌な顔を察してか、クライドはこう、続けた。
「……エオを信じられないなら、私を信じてくれ! 俺はスピッシュを殺したやつを大元からぶっ潰したいのだ、そのためなら、敵視していた相手だろうと、悪魔にこの身を捧げようと、必ず成し遂げる」
アルはこの時、覚悟を決めた。
シル・マッカザージルのことが信用できないなら、クライドや、パンヌを信用しようと。
「……誰かー! いないか!」
反響した声が鼓膜を揺らす。光魔法で周りを照らすが、何処にも姿は見えない。
「アルです! グレンドランゴ島―調査・護衛部隊隊員アル・スパル・マンハッタンです!」
「あぁ、アルさん! 今からそちらに行きます!」
暗闇からひょっこと顔を出したのは、グレイだった。
「あ、貴方は確か……」
「はい、ソラーノ島で医者をやっている、グレイです。まぁ、医者といってもただの放浪者ですが……」
グレイもアルも勿論顔は合わしたし、自己紹介もしていたのだが、あまり会話していない。
「そ、そうなんですね、それにしても急な出来事で、ほんと、びっくりしましたよ、一人じゃなくて、安心しました」
「そうですね、僕も誰かと会えたのは不幸中の幸いです」
二人は光魔法で洞窟内を照らす。
「何もありませんね……」
「そうですね……、ん? これは………?」
グレイは指で奥の方を差している。アルもそちらの方に視界を向ける。すると二手に別れどちらも洞窟が続いているのが、見えた。その手前にはあからさまに見やすいように赤いやじるしが書かれた木の板がある。
「これは流石に罠かな……?」
「ですね、間違いなく」
アルもグレイの意見に賛同する。
「ただ、現状、これに従わない手はないんですよね……」
二人が悩んでいると、左洞窟から何やら声が聞こえる。
「左から、何か聞こえますね?」
「私も聞こえました……」
良く耳を澄ましてみる。すると、何やら女性の声のようだ。
「に……ろ」
「ん??」
「にげ……ろ……」
その声は段々と大きくなっていくが、はっきりとは聞こえない。
目を凝らしてみてみると、光に反射する二つのレンズが見えた。
「そこにいるのは誰だ!」
「その声はグレイか? 私だ! ホルセだ!」」
「おぉ! ホルセ! 無事だったか……」
「そんなことより逃げろ!!」
「ん?」
「お化けがでた!!!」
その声にグレイはホルセの後方に目をやる。
そこには――。




