パンヌとマッカザージルとエオpart5
僕の名前はシル。
遂に念願の時が来たんだ。
お父さんにには散々酷いことされたけど、でも、もういいんだ。
僕の開発した、魔法の道具――魔愚が認められたから、それで満足だ。
だから、お父さんにどんだけ、冷たくされても、僕は実験に付き合うよ、僕の知識ならいくらでも貸すよ。
「ファイブも一緒に行こうよ! ここに居たら、死んじゃう」
「……僕は置いて行っていい」
「何で、そんなこというのさ!」
「……僕はもう、君の知ってる僕じゃない! 行くんだ、シル! もう二度と彼に関わっていけない!!」
ファイブとシルは、この日以来、会っていない。
この戦いが始まるまでは。
「シル……!」
エオを衝撃破が襲う中、目を閉じつつも、叫んだ。
ファイブの魔法をもろに食らったシルの周りには、巻いた煙がシルの姿を隠している。あの威力のダメージだと、ただでは済まないことぐらい、エオにだってわかる。
それにエオは気になることがある。
ファイブの顔はどことなく、寂しそうなことだ。シルを攻撃したのは、ファイブなのに。
「シル、ごめん。そして、今までありがとう……」
ありがとう。ファイブは確かにそういった。
「……ファイブは」
「……?!」
その声は確かにシルのものだ。神々しい魔力で煙が消えていく。シルは生きていた。それに途轍もない魔力を蓄えた状態で。
「ファイブは知っているはずだよ、僕には絶対に勝てないことを。それでも挑んだのには理由があったんだ」
「……気付いていたんだね」
「ファイブ、君は僕を止めたかったんだね」
止めたかった。そう、ファイブはシル・メッキガーデンに操られながらも、友であるシルをここで追い返したかった。
「…………そこまで気付いているなら、僕が止めたかった理由もわかるんだよね?」
「あぁ、僕じゃメッキガーデンを倒せないんだろう?」
シル・メッキガーデンの命令でファイブはエオたちに戦いを挑んだのは間違いないことだ。しかし、それは建前だ。
ファイブは決して、研究所で過ごしたシルと思い出を失ってなんかなかった。
メッキガーデンに一度は捨てられたが、もう一度信用し、魔愚の技術を渡し、また、裏切られたシルにとって最大の心残りは、一緒に苦難を乗り越え支え合った、ファイブの存在だった。
ここで出会えたことは本当に嬉しかった。そして、今はもっと嬉しいのだ。記憶を改ざんされていないこと、そして、今、ファイブが生きていること。
「そう、だから、あの時の言葉もう一度言うよ、二度と彼に関わるな!」
「嫌だね」
即答だった。
「何で…………?」
「僕じゃ倒せないことなんて百も承知さ、それでも、僕が挑んだのは、エオくんの力を信じたからさ」
エオはその言葉に耳を傾ける。今までの会話は正直あまり意味を理解していない。しかし、圧倒的な魔力を持ったシルはエオを信じる、そう、はっきりと言った。
「エオくんは必ず、メッキガーデンを倒してくれるよ」
「無理だ! どんなに不思議な魔力だろうと、彼を倒すことは出来ない、絶対に!」
ファイブはかなり、唾を吐き散らしながら、感情的に訴えた。
しかし、それにシルは動じない。神々しく、生々しい魔力を身体中から放出しながら、シルはこう言った。
「あの時は、助けられなかったけど、まだ、チャンスはあるんだね……」
「え……」
「ファイブ! 次は君を助ける!」
シルは魔力をファイブにぶつける。
しかし、衝撃は来ない。ファイブに触れたその魔力の塊はファイブの全身を包み込む。
「……少し眠っていてくれ、ファイブ。全て片付けたら、迎えに来るよ」
こうして、エオ、パンヌ、シルは誰人掛けることなく、コマを進めた。




