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パンヌとマッカザージルとエオpart3

「いやいや、ゴルゴラーダが負けるとは思わなかったなー、僕たちも負けないよ! 第二試合の対決を始めます! ルーレットスタート!」


 ファイブがルーレットを廻す。

 エオは固唾を飲んで見守る。

 ルーレット上のエオの顔に〇が、ゴルゴラーダの顔には×が書いてある、いつも間に書いたのか。

 そんなことを考えていると、ルーレットは茶髪の男と、パンヌを差した。


「次の勝負はパンヌとヘラクレスの試合です! リングに上がって下さい!」


 ファイブは楽しそうにそういった。


「……パンヌ、行けるか?」

 シルはパンヌに問う。

「……任せて」

 パンヌは余裕の表情でリングに飛び乗る。

 茶髪ことヘラクレス。名前と見た目が一ミリ合わない彼は、正直、最弱そう。

 見た目で人を判断するのはどうかと思うが、ゴルゴラーダと比べかなり、ひょろひょろで、あまり攻撃が得意そうではない。寝不足なのか、クマも凄い。


「……ククク、君が相手? 女の子を甚振る趣味はないけど、手加減はしないよ」

「いいわよ、むしろ、私が手加減しようか?」

「ククク、言うねー。まぁ、その余裕がいつまで続くかな?」


 二人はバチバチだ。

 エオは新魔力を開放したことで、魔力をより感じ取れるようになった。そのせいで分かったことがある。

 ヘラクレスという男の魔力はさっきのゴルゴラーダとはく比べものにならないほど膨大だ。

 しかしそれと同等、いやもしかしたら、それ以上の魔力を放っているパンヌという少女。その見た目とファッションから想像できないほど、肌に突き刺さるような魔力だ。


「それでは試合を開始します! 二回戦目、パンヌ対ヘラクレス! スタート!」


 その合図とほぼ同時にパンヌの拳に魔力が溜まり、ヘラクレスと間合いを一瞬で詰め、殴り掛かる。

「ククク、早いね、でも……」


 しかし、パンヌの拳は空を切り裂く。

「ククク、当たらないよ、俺には」


 パンヌはリングのコーナーポストを利用し、勢いそのまま反転。

 もう一度、ヘラクレスに殴りかかる。


「何度向かってきても無駄無駄。俺には当たらないってさ」

 ヘラクレスはまたも避ける。

 リング外で見ていた、エオとシルは確かな、違和感を覚えていた。


「シル、あれって……?」

「あぁ、あれは魔法だね。きっと自分の身体を霧か何かに変化させるタイプの、パンヌの打撃系の魔法とはかなり相性が悪いと思う」

「……そう、なのか」


 魔法には相性があるらしい。

 シル曰く、パンヌの魔法は拳に魔力を集中させ、攻撃するタイプで、ヘラクレスは自分自身の状態を変化させるタイプ。

 パンヌにとっては分が悪い。


「ククク、強力な攻撃も当たらなくては意味がない」

「…………」


 パンヌはそれでも攻撃を辞めない。

 何度も殴りかかり、そのたび、避けられる。

 

「ククク、学ばない女の子だ、無駄なんだって……」

「それはどうかな?」

「なぁ!」


 ヘラクレスは急に態勢を崩した。


「いまだ! パンヌ、フルパワーでいけ!」

 シルの掛け声に合わせるように、拳の魔力は増幅した。

「ちょ、まて! やめろ!!」

「くらえ!!」


 鈍い音だった。

 人間の身体がばらばらになる。

 

「……うぇ」


 エオはその光景に吐き気を催した。

 シルは大丈夫か、と言いながら背中を優しく撫でてくれる。

 パンヌはリングから降りると何事もなかったように、ルーレットを眺めている。


「……パンヌ、今の何が起きたんだ?」

「殴り殺した、それだけよ」


 エオが落ち着いた後、シルが説明をしてくれた。

「ヘラクレスを殴っていたわけではないんだ、パンヌは」

「どういう事だ?」

「パンヌはヘラクレスの魔力を削っていたんだよ」


 つまりこう言うことだ。

 パンヌはそもそも、ヘラクレス本体を殴っていたわけではなかった。

 ヘラクレスの魔力を自分の魔力と相殺して相手の魔力切れを狙っていたという。

 

「なるほど、だから、ずっと同じ攻撃しかしなかったのか」

「そういう事、エオもこの戦いの中で成長したほうがいい、そうしないと奴に到底勝てないよ」


 そう。エオの目的はシル・メッキガーデンを倒し、ピースを救うこと。こんなことでへこたれている暇はない。


「あらら~、ヘラクレスまで負けちゃったよ! まぁ、仕方ないか。それじゃ最後の対決と

いこうか?」

 ファイブはリングに上がる。


「僕の相手は、ルーレットなんて使わなくてもいいよね?」

「あぁ、僕が相手だよ」


 シルはリングに上がる。

 遂にこの二人の試合が始まる――。


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