新魔力と城
「…………はぁ」
「どうしたんだ、エオ? 緊張してるのか?」
メジザ島に向かう船の中。昨日の時点で作戦はある程度立てた。
勿論、眠れるわけもなく、エオはかなりの疲労がたまっている。
今回の戦いでメウとビスは流石にソラーノ島に残ってもらった。ついていくのだー! と張り切っていたが、危険すぎるため、エオが根気よく説得した。
メンバーは、クライド、レオル、パンヌ、アルの防衛部隊のメンバー。
それと、グレイ、ホルセ、エオの三人。
そして、シル・マッカザージルとその叔父。
船中医務室にはキャロルが眠っている。ソラーノ島においてきたほうがいいかと考えたが、ホルセの傍にいる方が、エオにとっても安心だし、本人もそうして欲しいだろうという勝手な憶測で連れてきた。
「……あ、うん、まぁ。でもそれだけじゃないんだ」
昨日、エレスとマフィンに特別な薬を貰った。この薬は魔法使いの魔力を枯渇させることができるという。それに関してはかなり助かった。二人は感謝している。
しかし、それ以外で不安の要素は絶えない。
まず、キャロルの件について。ホルセ曰く、問題ないらしいが、目は覚まさない。少しでも、回復の兆しがあればいいが、本当に眠りついて動かない。ここまま起きないんじゃないかと思うと本当に胸が痛い。
そして、もう一つの不安。それは、トリノ湖の神様から貰った魔法が今のところ全く使えない。
ホルセにも聞いたがそんな魔法聞いたことないらしく、使い方がわからないという。淫力改め、新魔力で魔力の質はパワーアップしたけど、使い方がわからないんじゃ話にならない。
しかも、股間にゴムつけてるし。違和感はないけど、精神的に、何か、嫌だ。
「……勝てるのか?」
エオはクライドに質問した。
「……正直、分からない。俺が対戦した感覚では、勝てん。ただ、シルもホルセもいる、それにパンヌも凄まじい力を持っている、可能性はないわけではないだろうな」
このゴスロリ少女がそんなに強いのだろうか。見つめていると目があってしまい、軽く会釈したが、無視された。
「まぁ、僕が言うのも可笑しいけど、僕のニセモノたちは僕より強いということはないよ、でも、数がわからない。お父さんのことだから、一体、二体ってことはないと思うし」
シルは顎に手を当て、状況をまとめた。
結局行ってみないとわからないということだろう。
「……クライドさん! 島が見えましたよ!」
レオルが双眼鏡で覗きながら指をさした。
メジザ島。
エオが予想していたよりかなり大きめの島のようだ。
キャロルも言っていたが、ほんの数か月前までは人々が暮らしていたらしいから、それなりの敷地はあるのだろうとエオも想像していた。
その広さを助長しているのは聳え立つ城。
城、というと語弊があるかも知れない。壁面の素材がまばらで統一性がなく、でっぱたり、逆に凹んでいたり。まるで、ハ〇ルの動く城のような風貌で、特徴的。
「…………ここにピースが、いるんだね」
エオの拳に力が入る。
「みんな、いこう! 絶対ピースを助けるんだ!」
おう! という掛け声と共に、皆は島に上陸した。




