〜始まりの異世界転移〜
「田舎に帰りたい……」
春から都心の学校に通うために、上京してきたのだが、馴れない騒音、安っぽい香水の匂い、ゴミのように湧き出る人、ヒト、ひと。
「学校選び失敗したな、これ」
都会に憧れて、わざわざ、都心の高校を選んだ。しかし、ここまで窮屈だと先が思いやられる。
「きゃあ!」
目の前の少女が悲鳴を上げた。
「どうしました??」
田舎もんは困ってる人がいれば助けるのが鉄則。
癖になってるんだと思う。
つい、声を掛けてしまった。
「そこの葉っぱが……」
「葉っぱ??」
少女の目線を辿って、そちらを見る。
そこには一枚の青々とした葉っぱが落ちている。
「この葉っぱがどうしたんですか??」
「喋ったんです」
「はい?」
「喋ったんですよ、この葉っぱ!」
あり得ない。
「何言ってるんですか?」
「本当なんです、信じて下さい!」
「信じろって言われても……」
そう言いつつ、葉っぱを拾い上げた。
「引っ掛かりましたね? それでは、また後ほど!」
「え、ちょっと、え?」
少女はそそくさとその場を去っていった。
「なんだったんだよ、結局…………?」
「おい、小僧!」
「え、え!?」
喋っているのだ。
「どうした、あり得ないものを見たような顔して」
葉っぱが。
「その通りだよ! なんで、喋ってるの?!」
その葉っぱには目と口と立派な髭を蓄えたおじさんの顔が浮き上がっている。
なんとも気持ちの悪い。
「小僧、最近の悩みはないか?」
「急になんですか?」
「良いから良いから、早く答えろ」
奇妙な葉っぱおじさんに悩みを聞いてもらった所で、解決するようなことでもない。
だが、疲れからか、頭が働かず、つい、相談してしまった。
「最近上京したんですけど、どうも、人混みに慣れなくて……」
「そうかそうか、それでは、転生させてやろう!」
「え、ちょ、え?」
「大丈夫大丈夫、3、2、1!」
目を開けると空が見えた。
「なんだったんだよ、一体」
少し痛む体を無理やり起こし、周りを見渡す。
「ここは、何処だ??」
見たこともない景色。小さな畑と小さな家、そして、大きな海が広がったなんとも喉かな場所だ。
「起きたか、少年!」
「お前は、葉っぱの爺さん、だよね??」
「そうじゃ、お前をこの世界に転生したのだ」
「な、なんで?」
「そりゃ、お主が都会の人混みが嫌だっていうから、喉かな田舎に転生してやったのだ」
「えー、いいよ、別に、元の世界に戻してよー」
「まぁ、まぁ、ゲームと思って楽しんでみるがいい、この世界での名前を決めてくれ」
葉っぱの爺さんがもぞもぞ、とポケットを漁り一枚の紙を取り出した。
「これに名前を書いてくれ」
「そ、そんなんで、決まるのか……?」
「ほら、この鉛筆でさっさと、名前なんて適当でいいんじゃぞ?」
「えー、エレンとかかっこいいなー、漢字なら相馬とかいいな……」
「えーい、もう、ランダムでええじゃろ!」
「え、え、」
「お前の名前は今日から愛雨エオだ!」
「じじぃ、それ、あいうえおって書いて、適当に当て字しただろう!」
「遅いやつが悪いもんねー、それじゃ、楽しんむんじゃぞ!」
それだけ言い残し、爺さん何処かに消えてしまった。
「えーと、何をしようかな……」
エオは取り敢えず、家に入ることにした。
「意外と広いじゃん、一軒家にしては狭いけど」
キッチンもなかなかに広く、トイレも風呂もある。
「なんだこの箱?」
その箱を開けると……。
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