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甘え下手な桐島さん  作者: ずらまる
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一日目

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 俺がその子に初めて会ったのは中1だった。その子は同じ学年なのに周りより少し背が小さくて、笑った顔が天使のように可愛くて、いつも明るく大和撫子とか雅とかいう言葉が似合う綺麗な子だった。

 俺がその子に恋をしていると気付いたのは高1の春だった。きっかけは周りから見ればきっと些細なことなのかもしれないけどそれでも俺にとっては大切なことだ。でも所詮片想いでしかない。なぜなら、その子は誰にでも優しくて誰かのものにならないような子だからだ。そしてその子、桐島雛(きりしまひな)は今や九九璃(くくり)高校のトップ、つまり生徒会長なのだ。そして生徒会長を支える副会長になった俺、九条匠(くうじょうたくみ)は今日も生徒会の仕事に行く。

「九条君、あのねここの箇所なんだけど訂正してもらえるかしら」

 桐島が可愛らしい顔で言う。本当になんて可愛いいんだ!

「はいよ。どこを直せばいいんだ?」

「ここの説明もう少し詳しくできる?」

「お、おうわかった」

「ありがとう」

 そうやって永遠にかなわない恋心をしまい生徒会の仕事をするのだが

 はぁ~どうしてこうなったのかな…


 1

 今日は隣の席の佐倉茜(さくらあかね)によって宿題の解らないところを教えていたため1時間近く遅れた。自慢じゃあないが俺はこの学校の入試や定期テストで男女別順位で一位総合順位で二位なのだ。さすがに桐島でも怒るよのな…さてどうしたものかな、はいんのが怖い。たく佐倉のやつ解らないところ多すぎだっつうの。とりあえず深呼吸して

「すまねぇ。遅れた。」

 まず最初に謝る。

「遅れるなら連絡ちょうだい。忘れて帰ったかなと思ったよ。」

 と少し膨れた顔の桐島が書類の整理を止めて言う。てか怒った顔スゲー可愛い過ぎでしょ!怒られてるのに癒される。

「いやーすまんすまん。佐倉の宿題見てたら遅れて」

 ドキドキする気持ちを抑えて言う。

「今日は仕事多いから頑張るよ♪」

 ものすごいアイドルスマイルが飛び出してきた。はぁこの笑顔を独り占めできたらいいのに。まぁ叶うはずも無いんだけど。でも一回聞いてみっかな好きな人のこと。

「桐島ってさ、好きな人いんの?」

 突然聞いたから驚いたんか少し焦った様子で

「え、な、なに突然、どうしたのいきなり!?」

 何そのきょどりかた、超可愛い過ぎなんだけど。

「いやさぁ桐島ってモテるじゃん?この前もコクられてたし、でもふってたから少し気になって聞いてみっかなって思っただけなんだけどその反応はいるってこと?」

 少し不安だけども気になる。もしこれで脈なしなら諦めろと言うことかな。

「る…」

 顔を赤くしながら桐島が答えた。

「へ?何て言った?」

「ぃる…いるっていったの!」

「お、おうなるほど……」

 すっごい剣幕な顔で言われた。相当恥ずかしかったんだな。

「九条君はいるの?」

 今度は桐島が聞いてきた。

「いるって言ったらどうする?」

 まぁ当然の如く桐島が好きなんて言えるはずもなく。

「いるんだけどな はは、でもまぁ叶うはずも無いんだけどな!笑えるだろ?かなわない恋だっつうのに諦めきれねえんだよ。はははは、はぁ…」

 何やってんだ俺は。しゃーない相手が悪すぎだし

「俺のことは良いからさ桐島の好きな人の名前教えてくれよ?」

 チャンスは無いかもだけど聞かずにはいられない。

「何で言わなきゃダメなの?」

 そんな顔でこっちを見ないでおくれ。可愛い過ぎで昇天してしまう

「イヤなら言わなくてもいいけど俺は桐島を応援したいんだよ。」

「そんなの応援してもらわなくてもいいもん。応援と言うよりむしろ………」

 言うのが最後になるにつれてだんだん声が小さくなっていく。

「最後何て言った?」

「な、なんでもない!そんなに聞かんでもええやん。今日の九条君はいじわるや!ひどいさかい。」

 桐島は照れたり怒ったりするとき関西弁が混じる。

「す、すまん少しやり過ぎたわ。いやー桐島が可愛いくてついつい」

「か、可愛いやなんて、照れるやない。恥ずかしいからやめてえな。もう。」

 本当に照れてる桐島は可愛いな~。


 それからは大したことなく今日の生徒会は終わった。俺は帰る用意をして桐島とわかれた。いつも通りの帰り道、いつかは桐島と帰りたい。そなこと思っていると

(そこの君。え~と名前は匠か。匠君こっち)

 謎の声が脳に直接語ってくるかのように、いや脳に直接語ってきている。その証拠に周りの人は誰一人気付いていないのだから。

(そんなに警戒しなくても良いですよ。とりあえずそこの布愛羅神社(ふえらじんじゃ)でお祈りしてください)

 俺は謎の声に言われるがまま神社でお祈りした。ちなみに布愛羅神社は恋愛成就で有名な神社で通称フェラ神社。ツッコミどころ満載の通称だがスルーしてほしい。

(ありがとうございました。これで私も実体化出来ます!)

 といって目の前に現れたのは俺と同じくらいの歳の女の子がでてきた

「いやーようやく実体化しました!これが人間の姿ですか。とっても動きやすいです!」

 でてくるやいなや意味不明なこと言い出した。

「おっとこれは失礼しました。私はこの神社に祀られている神のカンナと申します。お賽銭ありがとうございます。おかげで実体化するためのお賽銭がたまりました!感謝します!」

 なんと目の前にいるのは神様らしいです。てか神様はお賽銭で人間の姿になれんのかよ。初耳だわ。

「ん~その顔は本当に神か信じていませんね?いいでしょう本物という証拠見せてあげましょうか?」

「いえ、いいです、いきなり女の子がでてきた時点でこの世の者でないことは言われなくてもわかるんで。でもなんで俺の前に現れたんですか?」

 俺は一番疑問に思っていること言った。

「それはですね。実体化したら実体化前最後にお賽銭をいれた人に尽くす。その代わりその人の家に居候させてもらうのが神のルールなのです。まぁ他の神は実体化出来るのにしていませんが。」

 なんとなんと目の前の神様は俺に尽くしてくれるらしいです。てかそんなルールあんのかよ。これまた初耳だわ。

「俺に尽くしてくれるのは嬉しいのですが、居候するなら親に言わないと。それに俺に尽くしてくれるのはいいんですけどこの神社どうなるんですか?神不在とか洒落にならないですよ?」

「居候に関してはちゃんとご両親に言いますよ。あとそうですね、まぁこの神社は()()()()神不在になりますね。」

 ん?今とおぶんって言ったよな。

「つまり、新しい神がここに来るまでの間神不在になりますね。でもまた神が来たらご利益がありますよ。多分あと1週間後に来ると思います。あと今さらですが敬語はやめてください。」

 ほー神様のルールブックはスゴいのな。

「じゃあカンナ、とりあえずカンナも俺には敬語禁止な。んじゃ俺の親説得しに行きますか♪」

 カンナに手を差し出す

「あら、反対しないのね。てっきり反対されるのかと思ったのに。」

 この神様マンガやアニメの見すぎだ。

「俺は可愛い子は見捨てない主義なの。ましてや神様相手に来んなはないっしょ。」

 言って恥ずかしかった。顔が真っ赤になった

「もしかして言って恥ずかしかった?」

「うっせ、はよいくで」

 俺の親はあまりにもすんなりカンナの居候を許した。反対どころか俺に妹ができたと喜んでいた。俺妹欲しい何て願ってないよ。ホントだよ。

 あんとき願ったことは桐島雛と両想いになれますようにだよ。あっれれ~おかしな~まぁいいやとりあえずカンナに部屋を案内し話を聞くとしますか!

 一通り部屋を案内しカンナの部屋も用意してそして俺の部屋で話を聞いた。

「なぁカンナ」

「何?」

 恋愛成就の神何だから恋愛のこと言ってみるか。

「俺好きな人いるんだけどその子はいろんな人に対して優しくて誰にでも笑顔だから本心がわからないんやけどどうしたらええ?」

 とりあえず今の状況を言ってみた。

「わかりった。私がなんとかして見せましょう!そうだな~明日私が匠の従妹して転入するのでいいね。この続きは学校で話す。」

 そうして摩訶不思議(まかふしぎ)な一日が終わった。


 次の日、カンナは朝ごはんをさっさと食べて転校初日だから先に行った。たく、この家に来て一日で馴染みやがった。俺も食い終わり学校にいく用意してそして学校に向かった。

「おーい、たくっちオッハー!」

 後ろから聞き覚えのある声がした。佐倉茜だ。佐倉はいつも通りセミロングの金髪を下めでふたつにくくりスカートを少し短くしていた。俺らの学校は校則が緩めなのだ。だからスカートを少し短くしていてもおこられない。ちなみにたくっちは佐倉が勝手に着けたあだ名らしい。

「昨日はあんがとね。おかげさまで助かった!それでさこれから毎日勉強見てくんない?いやさぁたくっちに教えてもらったときになんかつかんだかんじがしてさ、もしかしたら諦めてた大学行けんじゃないかな~って思ったんよ。な、いいやろ教えて、こんとーり。」

 手を合わして頼んできた。

「いいぜ。ただし厳しくいかしてもらうからな。覚悟しとけ。」

「お手柔らかに」

 そう言って学校に向かった。

「そうそう、うちらのクラスに転校生くるらしけど何か知ってる?」

 もう転校生の話ひろまってんのかよ。

「ああ、それ俺の従妹だわ。」

「マジ!たくっち従妹いたんだ。意外」

 絶対意外なんておもってねーだろとツッコミをいれたくなる生返事がかえってきた。

 なんだかんだ言いながら学校についた。教室まであがると席が一つ増えていた。


「おいお前ら今日は転校生が来るぞ~。ちなみに九条の従妹だからな。」

 ずっきー先生こと鈴木先生が入って来ると生徒が全員座っているのを確認して言った。

「んじゃ入ってこい。」

「はい」

 ずっきー生徒が言うと返事をして中に入って来た。

「九条カンナです。九条匠の従妹です。えーとあとは~あっ!好きな食べ物は栗羊羮です。」

「「「渋!!!!!」」」

 クラス全員が口を揃えて言った。ああ俺が恥ずかしい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!

「じゃあ九条の隣に…やっぱり前の席についてくれ。」

「先生ーなんでうち見たー。」

 佐倉の方を見て悩んだずっきー先生に佐倉が少しふてくされた顔で言った。めちゃ可愛い。佐倉はこの学校では一番人気。なぜならミス九九璃の称号を持っているからだ。ただのギャルではないところがスゴいよな~。ちなみに桐島は二位だった。まぁ俺の中での一番は桐島だけど。

「よろしくカンナ。私は佐倉茜、茜って呼んでね♪」

「よろしく茜。」

 席に着くやいなやすぐ佐倉と仲良くなりやがった。これならカンナも学校で孤立することはないだろう。


 3  

 昼休み、俺はカンナと作戦?会議をしていた。相手の好意を測るのに作戦なんかいんのか?でもまあ聞くとしますか。

「で、カンナ昨日言ってた作戦教えてくれ。」

「はい。それでは作戦を発表しましょう!その名も生徒会おサボり観察大作戦?よ。」

「自分で考えた作戦に疑問符つけてんじゃねえよ。それで作戦内容は?」

「とりあえず今日は生徒会に行かないでね。そうねー今日茜が放課後掃除当番でしょ?」

「たしか…そう?だったような。」

「まあどうせ放課後になったらいつものごとく手伝わされるでしょ。」

「なんでしってんの?」

 カンナって今日初めて来たよね?こわ!神様こわ!

「そしたらついでに遊びに誘って。そんまま遊びにGO!!!」

「マジすか?」

「マジすわ。」

 俺は少し、いやだいぶ無理難題に挑もうとしていた。佐倉茜を遊びに誘えだ?ふざけんなし。俺は桐島が好きだけどそんなことしたら周りから誤解されるし。

 無理難題を押し付けた張本人は笑って「頑張って!」だそうだ。気楽でいいな!くそ。

 てな訳で放課後カンナの予想通りと言いますか、いつも通りと言いますか、なんと言いますかようくわからんけど佐倉に掃除当番の手伝いを頼まれた。

 んーあれあれーおっかしいなー俺は桐島が好きだけどなんで佐倉を攻略するようなことしてんのかなーこのままだと最終的に佐倉にコクられんじゃね?

 そんなことを考えてると

「ぼーっとすんなし。」

 とほうきで叩かれた。

「す、すまん……てかもともとお前の仕事だろうが。なんで俺が怒られなきゃなんねーんだよ。」

「まあまあ、いいじゃないですかそれくらい、うちとたくっちの仲じゃない。」

「お前と俺にどんな仲があんだよ。」

 たく、自由過ぎんだよなー。うらやましいわ!しかしなかなか本題が切り出せない。佐倉は少しこの時間を楽しんでいるみたいだった。ホント、心の一番が埋まってなかったらソッコーでコクってソッコーでフラれてただろうに。

「な、なあ佐倉…」

 俺は本題にはいろうとしたとき

「あら?九条君と佐倉さんじゃない。二人でなにしてんの?九条君、今日生徒会あんよ?」

 突然桐島があらわれた。

「っ!…き、桐島、こ、これは佐倉の掃除を手伝わされるだけでけして生徒会をさぼろうなんて考えて無いからな。あ、あとでちゃんと行くからな。」

「そうそう。たくっちには掃除当番手伝わさせてるだけだから。大丈夫大丈夫取らへんって。ww」

 なにいちゃってんすかこの人は!まるで桐島が俺に興味あるみいたいな言い方して。ないのわっかてて言わないでくれ。俺が傷つく。

「と、取らへんってまるで私達が付き合っているみたいに言わんといて!そ、そんな関係ちゃうもん。」

 うん…泣きたい。こんな目の前で全力で否定されるし…少しはさぁ…気つかってくれてもよくない?目の前で全力否定とかもうオワタとしか言えへんやん!…うわぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!

「……ん…くん…九条君!」

 少してかだいぶショックで気が一瞬とんでたらしく桐島に呼ばれてようやく復活した。

「ん、おわ!な、なに?」

「な、なに、じゃないよ。聞いてる?」

「たくっちはさぁ、今桐島さんに恋愛関係を全力否定されてショック死しかけてたんだよ。」

 佐倉が俺の心を読むかのごとく鋭い勘で当ててきた。

「ば、おま…な、なに言ってんだよ!そ、そ、そんな訳あるか。」

「すんげー動揺してんじゃん。」

「だから違うって、動揺じゃねーし。そんなショックじゃねーし。あんまりショックじゃねーし。少しだけだし。」

「でも少しショックだったのは認めんだ。」

 もうどうとでもなれってかんじになった。

「はぁー、じゃあ先に生徒会始めとくからね。」

 そうだった。今日は委員会の代表も集まる生徒会会議の日だった。

「お、おうわかった後でな。」

 俺が返事をするとゆらゆらと行ってしまった。

 今日生徒会本気で行きたくなくなった。

「なあ佐倉、この掃除終わったら、どっか遊びにいかね?」

「ほうほう、生徒会副会長がおサボりですか。いいね~♪で奢って。」

「いいぜ、奢ってやんよ。」

 そして掃除が終わると桐島には悪いけどそのまま遊びに行った。

           

                        4    

 佐倉との遊びから帰ると家の前でカンナと話す桐島がいた。なんで?

「あ、九条君!今日生徒会来んかったのなんでなん?九条君来るいったやん。来んからずっとまっ・・・じゃなくてとにかく書類カンナさんにわとしといたからね。明日きっちりお話聞くからね!全部話してもらうからね!」

「は…い(T_T)」

桐島は走って帰ってった。

俺はカンナを睨んだ。まあ俺も途中から遊ぶ気満々だったけどこの際自分のことは棚にあげる。

「いやー桐島さん怒ってらしたね。」

「お前のせいなんだからな!」

これで嫌われたら一貫の終わりだ。

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