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ゆ、幽霊……ゆうれいってあの白くてふわふわしたこの世にはびこる悪しきモノ……でしたわよね?自慢ではないですがわたくし、いままでそういった類の妄想ともいえる者には出会ったことがありませんの。
にわかに信じられないですわ。
「嘘をつくのはおよしになってくださいまし、だいたい貴方は血色も良いですし足だってはえているではありませんか」
幽霊というものは決まって血色が悪く、足が生えていないものと聞いたことがありますわ。
「んんー?やっぱ信じてくれないかー……じゃあさ、私の体を触ってよ」
「な……!いきなりなんですの?淑女がはしたない……」
「あーやっぱそういうキャラかー……私がいいって言ってるんだからさちょっとだけ触ってみてよ」
きゃら?と言いましたがわからない単語故にきょとんとしてしまったわたくしに畳みかけるようにして腕を伸ばす自称幽霊さん。
触ったら、悪いこととかあるのかしら?
「もしかして、怖い? 」
「怖くなんかありませんわ、そんなに言うなら触ってあげてもよろしくてよ! 」
「わかりやすいオジョーサマ……」
勢いよく自らの手を彼女の手に合わせると、
わたくしが触ったのはすべすべのサテン。
彼女の腕を触ったはずが、わたくしが触ったのはふわふわの掛布団で。
交わるはずの手は空中にさまよったまま。
「ね?わかったでしょ? 」
得意げに目を輝かせている少女の顔を見て、嘘じゃないと気づいたわたくしはこういいました。
「わたくしに、なにを求めていらっしゃるの?」
「別にー、なにも求めてないよ?ただ一つ言えるのはね。このままの生活を続けていると貴方に破滅が訪れる……まぁつまり死ぬんだよねぇ」
「なん……ですって? 」
「やっと5歳らしい表情見せたねえお姉さん感激」
「ざ、戯言はよしてくださいまし、一体どういうことですの? 」
いきなり死ぬだなんて言われて怖くないわけがない、ですわ。
何が原因で、どうして死ぬのかを聞いてしまいたくて必死に声を紡ぎます。
「んー……あなたはさ、この世界に起こることの大体を私が知っているって言ったら信じてくれる? 」
「貴方が、全てを? 」
「うん、全部が全部知っているわけではないけど」
「にわかには信じられませんわ、ですがそれを信じて私がどうして死ぬのかを知ることが出来るのなら……知りたいですわ」
不思議と、彼女が言っていることに嘘がないように思えたのは何故でしょう?
やはり彼女に触れられないという物理的理由なのでしょうか……?
「信じてくれて、ありがとう。じゃあ話すね」