第六話 学校の騒動1
次の日の月曜の朝
「ん・・・・もう朝か・・・」
締羅は起き上がると、背伸びしてリビングに向かった。
「そういや、あの子の名前聞いてなかったな。あとで聞くか」
少女はまだ寝ている。当然締羅のベッドで。
「寝所つくってやらないとな・・・」
締羅は朝食をつくり、食べ終わる頃に少女が起きてきた。
「あ、おはようございます」
「ああ、おはよう。朝食そこにあるからな」
「はい、わざわざすみませんご主人様」
「気にするな。それよりご主人様はどうにかならないか?」
「では締羅様ではだめですか?」
このほうがましだろう。少なくともご主人様よりは。
「ああ、それでいい。ん?なんで俺の名前を?」
「この前誰かが来たときに締羅様の名前を言っていたようなので、それで・・・」
「ああ、達弘が来たんだったな。ところで君の名前は?」
「私はティオといいます」
「よろしくな、ティオ」
「はい、締羅様」
「じゃあ行ってくる」
「え?何処へですか?」
「学校だ。当然だろ?」
「学校・・・ですか?」
そうか、ティオは学校を知らないんだな。
「まあ今度教えてやる。留守番頼んだぞ」
「わ、私も行きます!」
「だ、だめだだめだ!ここにいろ」
「うー」
「いいか、ついて来たりするんじゃないぞ?」
「・・・・うー」
「わかったな?じゃあ行ってくる」
締羅はこうして家を出た。
とんでもない、ティオを学校なんかに連れて行ったらまずいことになる。しかも尻尾生えてるし。連れて行けるわけないじゃないか。
「よう、締羅。おはよう」
「ああ、おはよう」
「今日はいい天気だな。なんかこんな天気は久しぶりな気がするな」
「そうだな」
そういえばこんな晴天は久しぶりだった。ここのところ雨が何日も続いていたのだから。
「あ、締羅君おはよー」
「ああ」
教室に入った途端声を掛けられた。彼女は花宮 鈴華 (はなみや りんか)。中学校から一緒だ。
ここは安らげるばしょだな・・・
締羅はふとそう思った。無理もない。家にはこの世界ではありえない存在があるからだ。
今日の最初の授業は社会だった。いつも通り授業を受けていたが、なぜか締羅は妙な胸騒ぎを感じていた。
なにかまずいことが起こりそうな気がする・・・気のせいだ。何も起こりはしない・・・
そう思いながら窓の外を眺めていると、大きな影が横切っていくのが見えたが、よくとらえられなかった。
ん・・・・・?
締羅はこのとき嫌な予感がした。その予感は当たることとなる・・・・・