第四話 日常崩壊4
ピンポーン・・・
「締羅ー、遊ぼうぜー?」
なんと来ていたのは達弘だった。
「・・・・・・」
まずい・・・今達弘を家に入れたらとんでないことになる・・・
「おい、締羅ー。いるのかー?」
「いいか?ここでおとなしくしてるんだぞ」
俺は龍にリビングで待っているようにと言った。龍は小さく頷いた。
「いま出る」
締羅は玄関のドアを開けた。
「よっ締羅。遊ばないか?」
「いや、今日は家でゆっくりしたいから遊ばない」
当然俺は断った。簡単な言い訳を言って。
「じゃあお前の家で遊ぼうぜ?それだったらお前が家から出ることなく遊べるじゃないか」
「いや、今日はどうしても1人でいたいんだ。だから、すまん」
「わかった。じゃあ明日はいいだろ?」
「どうかな?」
「あ?なんだよそれ」
「そのときの気分で考える。だから分からないな」
「わかった遊べることを祈ってるぜ」
そう言って達弘は帰って行った。
俺は祈っても無いがな・・・
締羅は明日は達弘が来ないことを祈り、家に戻った。
「すまん、ありがとな」
龍は締羅の言われたとおりにおとなしく待っていた。
「散歩にでも連れて行ってやれたいんだがな。無理があるよな。」
しかしこのままでは龍がかわいそうだ。ずっと家のなかに入れておくわけにもいかないし、龍も嫌になるに違いない。
「はあ、人間の姿にでも変わってくれれば、こんなこと考えずにすむのにな」
そんなことをぼやいていると、龍が締羅の肩を叩いた。
「ん?どうした」
締羅は龍の方を向いた。龍はとても締羅に甘えたいようで、今にも飛びついて来そうだった。
「ちょ、ちょっとまってくれ・・・」
龍はもう我慢できなとばかり思いきり締羅に飛びついた。
「ぐわあ!は、離れろって!」
そんな締羅の言葉を龍は無視して、今度は嬉そうに締羅の顔を舐めはじめる。
「や、やめろって!くすぐったいからやめてくれ!それに重い・・・」
締羅はなんとか龍を押しのけると、ぐったりとソファーに座った。そして龍のよだれまみれになった顔を拭いた。
はぁ、全く何でそんなに俺になついてるんだ?
俺は溜め息を付いた・・・
「このままだと、俺がもたないな・・・」
締羅は部屋に戻って宿題のつづきをすることにした。当然、龍も付いてきたが。
「よし、これで全部終わりだな。龍の視線が気になったが」
締羅は龍の視線を受けながらも、宿題を終わらせた。
「もう昼になるのか。俺は何も食べなくていいが、龍に何かあげないとな」龍に食事をやるとあったいう間に食べ終わり、ソファー昼寝をはじめた。
俺も久しぶりに昼寝するか・・・
締羅は龍の隣に座った。すると龍が締羅の膝に頭を預けてきた。締羅はその頭をしばらく撫でてやった後、眠りに落ちた。締羅が目を覚ますと、時計はもう5時を差していた。
「ん・・・もうこんな時間なのか」
しかしかなり眠っていたようだな・・・久しぶりだったからな。こうやって昼寝をしたのは。3月にしては、今日は暖かかったな。
買い物に行かないと・・・
「いいか?家でちゃんと留守番してるんだぞ?」
龍は置いて行かないでと言わんばかりに激しく首を横に振った。
「じゃあこうしよう。帰った後、たくさん遊んでやるからな。それでどうだ?」
あっさりと龍は嬉しそうに頷いた。
「すぐに帰って来るからな」
そして家を出た締羅は急いで店まで行き、さっさと必要な物を買ってすぐに家に向かった。
はあ・・・何故かあの龍からは目を離せないんだよな。ちゃんと俺の言うとおりにはしてくれてるんだが・・・何か不安で仕方がないんだよな。
そんなことを考えながら締羅は家につくと、ふと立ち止まった。
何か嫌な予感がする・・・まぁ気のせいだろう。
そう判断した俺が甘かった。ドアを開けると、龍が飛びかかってきた。当然俺はそのまま張り倒された。早く遊んでほしいみたいだ。
「ま、まて。荷物を置いてからな。」
それから俺は龍に夕食をやって遊んでやった。そのときの龍はとても幸せそうに見えた。
「さて、そろそろ風呂入るか・・・」
時計は9時を差していた。
締羅は風呂場に向かっているときにふとあることに気づいた。龍が後ろからついてきているのだ。「もしかして、一緒に入りたいのか?」
締羅の言葉に龍は何度も頷いた。よほど一緒に入りたいようだ。
「しかたないな、一緒に入ってやる」
しかたなく締羅は龍も一緒に入れることにした。
・・・龍と風呂だなんて、妙な気分だ。
締羅は今、龍とともに入浴中なのだが、
妙な違和感を感じていた。
まあこういうのも悪くはないか・・・
風呂から上がった締羅は、すぐに寝ることにした。が、また龍がついて来ているのだ。
「ま、まさか俺と寝るつもりか?」
龍は当然とばかりに頷いた。
どこまでこいつは俺と一緒に居たいんだ?
締羅はもう断っても無駄だと思い、龍と寝ることにした。何故か締羅は龍が居るというのに、あっさり眠りにつくことができた。
そして、締羅がこの龍が人間に姿を変えたりさえできればという願いが、後にかなうこととなる・・・