第三話 日常崩壊3
しかし・・・本当に龍がいたとは・・・青の世界でも、伝説の存在とされていたのに・・・青の世界はモンスターがいるからまだしも、その存在が全く無いこの世界に龍がいることがどうも腑に落ちない。龍に聞こうにも龍の方は言葉が理解できても話せないのなら意味がない・・・
そう思った締羅は龍をどかせ、夕食を食べることにした。すると龍は空腹を訴えて来たので、冷蔵庫にあった生肉やることにした・・・
「口に合えばいいんだが・・・」
締羅の心配は無用だったようで、龍は美味しそうに食べはじめた。
おそらく・・・何らかの異常現象によって空間がねじ曲げられ、たまたまそこにいたこの龍がそれに巻き込まれ、ここに飛ばされたのだろう・・・
どうして怪我をしているのかは分からないが・・・そういえば、青の世界と対になる赤の世界に龍が居ると聞いたことがある。多分そこから来たのだろう。
などと考えている内に、龍はあっという間にあげた生肉を全部食べ終わっており、空腹が満たされたのか、締羅に向かって頭を下げた・・・感謝しているようだった。
「腹いっぱいになったか?」
龍はこくんと頷き、ソファーに戻っていった。
俺も食べるか・・・
しばらくして締羅が夕食を食べ終わり、食器を洗って龍のところに戻ってくると、龍は疲れていたのか、気持ちよさそうに眠っていた。締羅はそこにあったバスタオルをかけようとしてふと思った。
この龍は子供なのか?龍にしては小さいな・・・
龍は頭から尻尾までで、3メートルはあった。締羅はバスタオルを龍にかけ、電気を消してリビングを出て、自分の部屋に向かった。自分の部屋に入った締羅は、すぐに寝ることにした。
今日はなんだか疲れたな・・・これからあのを龍どうすればいいんだ。当然家に置いておくが、いつまでもつか・・・
そう考えている内に、締羅は眠りに落ちていた・・・
「ん・・・朝か・・・」締羅は時計を見た。
「9時か。今日は土曜だったな・・・」
締羅は横を向いた。
「ん?これは・・・まさか!?」
嫌な予感がした締羅が向いた方には龍の尻尾のようなものがあった。締羅は起きようとしたができなかった。
なんだ、この抱きつかれているような感覚は・・・
「はっ!」
締羅ははっとなり布団をはぐと、そこには締羅の体にしがみついて寝ている龍の姿があった。
「うわあーーー!!」
締羅は思わず声を上げた。
なんで俺のベッドに龍が居るんだ!?
龍は完全に安心しきって眠っている。
昨日会ったばかりなのに、よくここまでできるな・・・
締羅は龍を起こさないようにそっと龍の腕をどかし、ベットから這い出るとベッドを見た。今度は龍は枕にしがみついて寝ていた。
俺はこの龍に気に入られたのか・・・?
締羅は溜め息を付くと、部屋を後にして服を着替えて朝食を取ることにした。
今日は作る気にならないな・・・あれを飲もう。
締羅は手をひらき、集中する。すると締羅の手が光ったと思うとそこには栄養ドリンクのような物があった。締羅はそれを一気に飲んだ。
これは一日に必要なエネルギーを全て取れる栄養薬だ。もうこれで今日はなにも食べなくても大丈夫だ。
締羅が部屋に戻ろうとすると、龍が眠たそうな顔をしてリビングに入ってきた。
「ぐっすり眠れたか?」
龍は嬉しそうに頷いた。
「さて、暇だし宿題やっとくか」
締羅は龍に食事を与えた後、宿題をすることにした。
「・・・」
じー
「・・・・・」
じー
「・・・・・・・・」
じー
ああ、もうなんなんだ!!さっきから俺のことばかり見て!まるで集中出来ないじゃないか!
実はさっきから龍は、宿題をしている締羅をずっと見つめっぱなしなのだ。
もういい、また後でやろう。
俺が龍の方を向くと、龍と目が合った。すると龍は上目遣いに俺を見つめてきた。どうやら甘えたがっている様だった。
遊んでやるか。と思った瞬間。家のチャイムがなったのだ
ピンポーン・・・
締羅はその場に凍りついた・・・