第二十一話 五連休二日目 突如現れた巨大なザコ敵2
いやはや、受験終了しました。結果は見事合格でした。これで安心して小説書けます。いつテイラを青の世界に戻そうか迷ってます。そう遠くはないので、少し話がまとまったら戻すつもりです。では二十一話どうぞ。
テイラに迫って来る何本もの触手。
テイラは飛んでかわした。触手はテイラの後ろにあった車にあたり、車は爆発した。テイラは少し低めのビルの上に降りた。人間では考えられない程の跳躍力だ。
更に触手は周りから覆うようにして迫って来た。
逃げ場がない。
テイラは大剣を横に振った。
振った軌跡が赤い燃え盛る炎となり、飛んでいった。それは触手に当たると、斬ると同時に燃やした。ジュワリと言う蒸発したような音と共にテイラの周りにドサドサと何本ものちぎれた触手が落ちてきた。それはまたも液体になり、本体へ戻ろうとする。テイラは見逃しはしなかった。大剣に炎をともし、液体に振り付けて蒸発させる。
すると本体がピクリと動き、何本か触手を体にしまった。
ん?静まったか・・・?
テイラがそう思った瞬間本体から突然一本の触手が飛び出し、テイラに向かってきた。
テイラは切り落とそうと大剣を振りかぶった。
ガキィン!
金属同士が激しくぶつかる音が響いた。
なっ!
触手は切れておらず、テイラの大剣と対等にぶつかっていた。
何本かの触手をまとめて丈夫なのを生み出したのか。刃の様な形をしているな。対斬激武器と言う訳か。
触手はそうだと言わんばかりに触手を振り払い、大剣もろともテイラを吹き飛ばした。
ドカン!
「っ!」
テイラは後ろにあったさっきいたビルより高めのビルの壁に叩きつけられた。体がめり込んだ。が、体は重力に負け、下に落ちてしまう。下にいる人達のざわめき声や悲鳴が聞こえる。真逆さまだった体を立て直して地面に着地した。すると驚いたような声が周りから上がった。
「君、大丈夫か!?」
すぐ近くにいた若い警官が声を掛けて来た
「はい、大丈夫です」
俺にとっては全然軽い傷だ。壁に叩きつけられたくらいなんともない。
「足、折れてないのか」
「はい」
警官の人は驚いたような顔をしたが、もとの表情に戻るとまた話掛けてきた。
「そ、そうか。それよりどうにかなりそうか?あいつ」
そう言って巨大スライムを指差す。
「大丈夫。必ず倒します。」
その時、爆音が響いた。空には何機もの戦闘機や戦闘ヘリがスライムに向かって飛んで行く。道路には沢山の戦車で埋め尽された。
「おお、これはこれは。自衛隊のおでましか?」
周りから歓声や拍手が沸き上がった。
そして一斉射撃が始まった。空からはミサイルの雨、地上からは砲弾の嵐。凄まじい爆発音が街中に響き渡った。
段々と煙が晴れていく。
「やったか!?」
「なっ!ティオ!」
テイラはただじっと見つめていた。
まだ煙はかなり立ち込めている。突然一本の触手が煙の中から飛び出し、空の戦闘機や戦闘ヘリを叩き飛ばしたり、落とした。周りから悲鳴が上がる。
「なに!?あんなにやったのにまだいきているのか?」
いや、あいつの場合特別だ。他の魔物なら跡形もない。もちろん。強力なやつでもだ。
「俺が行く」
そういうとテイラは警官の呼び止めに振り向きもせず走った。
ティオ。無事でいてくれ。
テイラは煙の中に飛込んだ。そこには無傷のスライムがいた。
全く効いてない・・・ん?これは・・・
よく見るとスライムの少し前に半透明の膜のようなものがスライムの体を覆うようにして貼ってあった。
バリアーか。こんな上級技を使いこなすとは。なかなかだな。だが、俺には通用しないな
テイラは一閃すると、張られていたバリアーはいとも簡単に砕けた。そして一気に距離を積める。その動きがあまりにも速かったのか、スライムは少し出遅れた。迎え撃とうとしたが、既にテイラはティオを捕まえていた触手を切り落として救出していた。
「これで決める」
テイラは大剣を真っ直ぐに構える。大剣を赤い炎が包んだ。それと同時に大剣から眩い光が放たれた。テイラはティオを空高く放り投げた。そしてスライムにそのまま突っ込み切り上げた。スライムは空高く跳ね上げられた。テイラも追う様にして飛んだ。そしてスライムに炎をともした大剣が振るわれた。
「斬天激!」
連続してスライムに斬激が与えられる。以前ティオ達にやった時と全然違っていた。一撃一撃に凄まじい轟音が鳴り響き、切っているのではなく、叩き切っているようだった。みるみるスライムの体が崩れていき、少しずつ小さくなっていった。
計17発の斬激を与えた後、高速で逆宙返りしながら2発斬激を与え、もう一度回って大剣を縦切りの構えに持って行く。そして最後の一撃に力を溜める。大剣が眩く光り、収まる。そして炎の一撃が与えられた。
ドガァァァン!!
凄まじい爆発音と共にスライムは思いきり地面に叩きつけられた。
道路には巨大なクレーターが出来ていた。テイラは地面に着地すると同時に大剣を背中にかけ、丁度良く降って来たティオを受け止めた
「目立ち過ぎた・・・一旦引くか」
テイラはエクションボードを呼び出すと、人目に着かない様に煙の中を飛び、レイジンの待っている所へと急いだ。
「あ!お兄様っ!ティオも無事だったんですね!」
「ああ、今は急がなければ・・・乗れ、行くぞ」
「はい!」
そして俺達は家に戻った。しばらくして警察が来て署まで来て欲しいと言われ、逆らう訳には行かないから行くことにした。
―回想―
「それで、テイラ君だったかな?今回の騒動についてだが・・・」
「はい」
俺は一人の刑事の人と机を挟んで向かい合って座っていた。
「あのようなものが今まで出て来たことは無かった。つまり、未確認生命体だ。しかも狂暴だ。君はそんなやつを倒した。いとも簡単そうにな。ひょっとして君は何か関係があるんじゃないか?」
有るにはあるが・・・言うべきか?
少し迷ったが言うことにした。
「信じられないかもしれませんが、やつは見れば分かるようにこの世界のものではありません」
「ふむ、だが見てしまったからには、そう信じるしかあるまい」
「信じろ、とは言いません。ただ、今はこれだけしか・・・」
「ああ、無理に言うことはない。ありがとう」
刑事の人は優しく微笑んでくれた。安心した。いい人だ。
「それでその時君は大きな刃物を使っていたな?」
「大剣ですか」
「まあ、その大剣とやらの所持には特殊な免許がいるのだが・・・」
「すみません。免許はありません。銃刀法違犯ですよね・・・」
「ああ、いやその事なんだが、君は特別その法律には掛らない事になったんだよ。審議でね。全議員が認めてね、即決だったよ」
「それでは・・・」
「ああ。君には全く積みはない。ただし、その武器で脅迫等はまた別の罪に問われるからな。これはまたあのようなものが現れたときのためなのだからな」
「はい。わかっています」
「よし、言うことはそれだけだ。さあ、家に送ろう」
「ありがとうございます」
「いやいや、呼び出したのはこちらの方だ。むしろこっちが礼を言うべきだ。ありがとう」
「いえ、当然の事をしたまでです」
―回想終了―
と、こんな流れで俺は家に帰してもらった。その後ティオの意識が戻り、特に怪我をした様子も無く、安心した。早く戻らなければならない。青の世界へ。
慌ただしい日が幕を閉じた・・・