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第十七話 誘い損2

・・・・・・


静まり返った居間。カチカチと時計の音が何時もより大きく聞こえるような気がする。

ああ、先程から黙りっぱなしだから気まずい。花宮は問題をスラスラ解いているし、俺と勉強する意味無いんじゃないか?


と思っていると花宮の手がピタリと止まった。


「ん〜〜〜」


どうやら難しめの問題を解いているみたいだ。


「あ〜わかんないよ。ねぇ、テイラ君。ここどうやってやればここの答えが出るの?」

数学の文章問題だった。何故数学しか宿題が出ないのだろうか。それはいいとして・・・なるほど。途中までは解けているようだが、どうやらその先の解き方がわからないようだ。


「これか。これはこうやって、ああやって・・・」


「あ、わかった!流石テイラ君だね!」


「ハハ、そうでもないぞ」


今の会話で気まずかった雰囲気は何処かへいってしまった。


まあ俺は気まずい雰囲気さえなんとかなればよかったがな。



しばらくするとまた静かになり、また気まずい雰囲気に戻ってしまう。


ああ、またか・・・なんか家に来ていいと言って損したかな?ああ、もう耐えられん。ティオ達の様子見てくるか・・・



「花宮。俺部屋片付けてくるから気にしないで勉強続けていてくれ」


「うん、わかったよ」


テイラは居間を出て自分の部屋のある二階の廊下に続く階段上る。


あの二人・・・おとなしくしていてくれるといいんだが。


部屋の前に着いたテイラはドアを開ける。そしてほっとした。ちゃんと二人とも部屋にいてくれた。が、何故か龍の姿で仲良く寝ている。



まあいいか。寝ているなら心配ないか・・・

テイラは自分の部屋を後にした。ガチャリとドアが閉まると同時に二匹の龍の目が開く。どうやら寝たふりをしていたらしい。



「よし、テイラ様は行った。あの花宮とかいう女はどんな人なのかが気になるわ」



「お兄様に手を出したら許さないんだから・・・」


「あらレイジン。私の主はテイラ様よ。私だけのね」


「いいえ、私よティオ。お兄様はきっと私に気があるに決まってるわ」


「何言ってるの?最初に契りを結んだのは私なのよ!」



「そんなの関係ないわ!」


「じゃあ直接聞いてみるのはどう?まあ私だろうけど」


「そんなのやってみないとわからないわよ」

二人の間に火花ができ、バチバチと音がなる。


そして二匹は龍のままなことも忘れ、テイラの部屋を飛び出した。


その頃居間では



「もうこんは時間かあ」


時計の針は七時を指そうとしていた。


「今日はありがとうテイラ君」


「礼には及ばないぞ」

「ねぇ、テイラ君は好きな人とかいるの?もしかして付き合ってたりする?」


「・・・・・」


「あ、ご、ごめんね。いきなりこんなこと聞いたりして。でも気になったからさ」


花宮は顔を赤らめる


「ああ、俺は今まで好きとか言われた経験ないし、好きな人もいないな」


「そうなんだぁ」


花宮はほっとした様子を見せた。


「どうかしたのか?」

「あ、ああいやなんでもないよ。ところでさ、この前学校に来た女の子ってまだテイラ君の家にいるの?」


「えーとそのこは・・・」そのとき居間の扉が静かに少し開き、ティオが覗き込んできた。幸い花宮は扉に丁度背を向けた形で座っていたから気づかない。


「ああ!!」


テイラは扉まで突っ走り、バンと勢い良く閉める。


「花宮、そこで少し待っててくれ」


「え?うんわかった」

テイラは居間から出るとそこにいた二匹の龍を引っ張って部屋まで連れていく。


「あのなあ、ちゃんと待ってろと言ったじゃないか」


二匹を部屋に入れたテイラは溜め息をついた


「もう花宮は帰るからあと少し待ってるんだぞ」


そう言うとテイラは居間へ戻った。


「すまないな。花宮。待たせた」


「ううん。いいよ別に。じゃあまたね」


「ああ、また明日」


「なにいってるの?明日からゴールデンウィークでしょ?テイラ君のおかげでほとんど終わったんだから」


「あ、そうだったな。じゃあまたな」


花宮はテイラに手を振って帰った。


やっぱ今の家に人を入れると損をするな。これこそ誘い損だな。


ああ、なんか疲れた。テイラは部屋に戻った。すると二匹の龍は人に戻っていた。


「テイラ様。聞いてほしいことがあります・・・」


「なんだ?」


「私とレイジン。どちらがテイラ様にふさわしいと思いますか?」

「ん?どういうことだ?」


「だからテイラ様は私とレイジン。どちらの方に気があるんですか」



なんでこんなこと聞かれなければならないんだ・・・

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