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第十六話 誘い損1

皆と再会するのは嬉しいことだが、それと同時にこちらの世界の人とも別れを告げなくてはならない。だが、二度と戻ってくることはないというわけではないのだから。そう悲しむ必要はないだろう


俺はもう向こうの世界へ帰る準備へと入った。準備とは、荷物や2人の龍たち。学校のこともある。一番問題なのが学校だ。先生には辞めるというのはまずいから、家庭の事情で引っ越すことになったということにするつもりだ。それと友達との別れ。最後に遊んでおきたいと思っている。


「テイラ〜、何ぼんやりしてんだ?」


顔をあげるとそこには達弘の姿があった。いつもとかわらない表情・・・俺が転校すること知ったらどういうだろうか?


「あ、ああいや、何も。ただ今日の夕飯のこと考えてたんだ」


「昼飯食ったばっかなのにそんなこと考えてたのか」


達弘がどうかしたのかという顔で見てくる


「あ、はは・・・まあな」


そのとき一人の女子がテイラのところへやってきた


「ねぇ、テイラ君」


「ん?花宮か。どうかしたのか?」


「今日そっちの家で一緒に勉強させてくれないかな?」


顔を赤らめて恥ずかしそうに言う


知り合って随分経つというのになんで赤面なんかするんだ?第一家にはあの二人がいるし・・・無理だな


隣では達弘がニヤニヤしている


なんだその表情は。ティオがいるから俺にとってはまずい状況だということを完全にわかっているようだ。だがしかし、もう一人居ることは知っていないようだな。だからさらにまずいんだよ


「い、いや。俺は一人で勉強したい方なんだ。だから・・・」


「どうしても・・・駄目なの?」


なんでそんな泣きそうな顔でみてくるんだ。


「テイラ。女の子を泣かしたら、男の恥だぜ〜?」


意地悪そうな笑みを浮かべる達弘


だが、俺は戻らなければならない。そうするとこの二人とはかなりの時間合えなくなるだろう。今のうちに色々としておいたほうがいいか・・・


「わかった。来ていいぞ」


すると花宮はやったと嬉しそうに跳ねる。


学校終わったら大急ぎで家に帰らないと・・・




そして放課後はすぐに迫った。


「寄り道すんなよ〜」と先生は言うが皆はほぼ無視している。随分と紹介が遅れたが、彼の名は青木真弘あおきまさひろ。23歳の男性の若教師だ。担任で結構しっかりしている。女子にもいくらか人気があるようだ。

と、先生の紹介はここまでにして俺は早く帰らないといけない。



教室を出ようとしたが不意に声がかけられる。


「テイラ〜〜」


「ん、なんだ功樹」


彼は宮本功樹みやもとこうきこちらも仲の良い友達である。髪型はツンツン型で、結構マニアックである。特にメイドが好きらしい。


「遊ばないか?」


「すまんが今は大変忙しい。また今度だな」

「ちぇ〜、わかった。んじゃまたな」


「ああ、ってしまった!急がないと」


テイラは教室を飛び出し、下駄箱に行き靴に履き替え、そのまま急いで校門を出て駅を目指す。


「なんとか間に合ってくれ・・・!」


駅に入るとテイラは慣れた手付きで切符を買って改札機に放り込んで電車まで突っ走る。

ピロリロリロリロと電車が出発を知らせる音が聞こえる。


後少しだ。と思ったのだが。


「うあっと!」


駆け上がっていた階段の最後の一段に虚しく足を取られた。テイラは地面に素早く手を着き、そのまま前転して受け身をとる。怪我はしなかったが電車はいってしまった。


「くそっ」


テイラは駅を出て近くの住宅街を出て人気の無い場所へ向かう。

「ここでいいな」


テイラは手を空にかざした。するとテイラの頭上に時空の歪が発生し、そこからスケートボードのようなものが現れた。

それには車輪がなく、地面から少し浮いていて後ろの方にジェットエンジンの様なものが二つ付いていた。その横には折り畳まれた翼のようなものがついている。


このボードにはエクションボードと書かれていた。明らかに現在の技術では製造不可である。実はこれもテイラが誤って移動した未来から持って帰った物の一つだ。


テイラはエクションボードに乗った。

するとボードは高度を上げ、約10メートル程まで上がると、ジェットエンジンを起動させた。するとエクションボードは凄まじい速さで空を駆けた。時速500kmは出ているだろうか。人が耐えれるような速さではないが、このボードには特殊な目に見えないバリアが張ってあるので問題ない。そしてテイラは家を目指して飛んで行った。




「今夜の夕食はハンバーグなんてどうかな?レイジンさん」


「レイジンで結構よ。でもこちらもティオと呼ばせてもらうからねー」


「全然かまわないよ」

「ハンバーグかあ。なにそれ?初めて聞くんだけど美味しいの?」

「うん。前にテイラ様が私に下さってね。とても美味しかったの」

「へぇ〜そうなんだ〜。じゃあ食べてみる価値あるかも・・・」


二人が家から出て道に出たそのときだった。


キーーーーン


「ティオ、何かこっちに飛んでくるみたい」

「なんでしょうね〜」


その飛んでくる主はテイラである。テイラはこちらを見上げている青髪と赤髪の二人の少女に気が付いた。


「ティオとレイジンじゃないか。何処へ行くつもりなんだ」


「あ、あれはテイラ様だわ。テイラ様ー!」

ティオが嬉しそうに手を振っている。


テイラは二人の前に降りた。


「あ、お兄様!」


「二人とも早く家に入るんだ。」


「え、何故です?」


「それは後だ。今はとにかく家へ」



テイラは二人を家に入れると、家に花宮が来ることを話した。


「では、私達はその花宮さんに見つからないように隠れていろということですね?」


「そういうことだ」


「でも何故隠れる必要があるんです?お兄様」


「まあ、いろいろとまずいんだ。とにかく、花宮がいる間は俺の部屋にいるんだ。いいな?」


「「わかりましたー」」



そしてテイラは二人を部屋に入れると花宮を待った。



一方テイラの部屋では


「テイラ様のお部屋は片付いていていいですねー」


「そうだね〜」


ティオはふとテイラのベッドの下を見た。


俺はやらしい物なんて持ってないからな・・・


するとそこには一本の鞘に収まった剣があった。


だからないと言ったろ・・・


「こんなところに剣が」


「お兄様の事だから、もしもに備えて置いてあるのでは?」


「そうかもね」


その時、客の訪問を伝えるチャイムが鳴った。



「は、はい・・・」


「あの、花宮ですけど」


「来たか・・・」


テイラは玄関のドアを開けた。


「あ、テイラ君」


「来たか、花宮」


「来ましたよ〜」っと無邪気な笑顔を浮かべながら言う。


「まあ、とにかく中へ」


「あ、は〜い。おじゃましますー」


「こっちだ。ここで勉強しよう。俺は勉強道具取ってくるから少し待っててくれ」


「リビングでするの?テイラ君のお部屋じゃないのぉ?」


「あ、ああ。ちょっと散らかっているからな。ハハハ・・・」


「あ、もしかしてベッドの下に何かあるんでしょー?」

花宮がニヤニヤしながら見てくる。


ギクッ!!ベッドのしたには剣が・・・!軽く殺傷能力を持つ剣だ。見つかったら銃刀法違反で警察送りだ!なんとか誤魔化せねば!

「何だ、そのまずいモノって・・・?」


「ほら、年頃の男の子が持ってるものなんだけどなあ」


年頃だと?年頃の男の子は剣をベッドの下に入れたりするのか?いや、有り得ないな。じゃあ俺は無関係か」


「そんなもの俺のベッドの下には無いぞ。むしろ何も無い」


「そっかー。やっぱ真面目だね。テイラ君は」


なんでそれが真面目なんだ?まあいいか。


「とにかく勉強だ。勉強道具取ってくる」


「はいはーい」


やっぱ勉強断わっておけばよかったか・・・?




はあ・・・・

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