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第十四話 真っ赤な誓い

その雷の落ちた穴にいた龍。それは真紅の鱗を持つ、ティオと同じ形の龍だった。


「・・・・・・・・」


俺は驚いて言葉もない状態だった、まぁこうしていても仕方ない。ひとまず家へ運ばないと。


「締羅様〜。どうしたんですか?」


「ああ、ティオ。お前に似た姿の龍が赤い雷と一緒に降ってきたんだが、仲間か何かなのか?」


仲間だとすれば話は早い。和解にもそうかからないだろう。  だが締羅の期待は背かれた。


「う〜ん、見たことないですね。確かに私と同じ龍の姿ですが、全く見覚えがないですね」


「そうか。ティオもこんなふうにして降ってきたんだぞ。またこうやって同じようにして、同じ場所に降ってくるというのはやはりなにかあるに違いないだろう」


「例えばなんですか?」


「向こうの世界のどこかに、時空の乱れが度々起こる不安定な空間の場所があるのかもしれない。で、そこに通りかかった龍がちょうどそのとき発生した時空の歪に吸い込まれて、ここに飛ばされたということも考えられるかもしれない。何故そのとき此処の天気が荒れるのかはわからないが」


「ふーん、そうなんですかぁ」


「あくまで予想だからな。そうとは限らないだろう」


「私もこんなふうにして降ってきたんですね」


「ああ、そうだ。そんときゃ驚いたぞ。いきなりだったから。そういえばこっちに飛ばされたときのことはことは覚えてないのか?」


「はい、さっぱりです。全く記憶にないんです」


「そうか・・・この龍も怪我してるな。ティオと同じ程度だが」


締羅はひとまず傷を癒してやったが、目は覚ます様子は見られない。


「呼吸も心拍も問題ないんだがな。毒があるとしても俺のこの回復術で一緒に消える筈だ。まぁ、そのうち目を覚ますだろう」


「大丈夫なんですか?」


「俺もここまでが限界なんだ。これ以上高度な魔法は使えないな。力を封じられてるからな」


「なぜ力を封じたんですか?」


「この世界では無用なんだ。むしろその力自体の存在がありえないからな。だがこういう、どうしてもという状況に応じれるように、必要最低限度の力は使える。」


「完全には封じていないんですね」


「ああ、そういうことだ。さあ、夕食を食べて風呂入ってねるか」


「そうですね、この龍さんはどうするんですか?」


「そうだな・・・うーむ。ティオの部屋を至急作る。そこで寝てもらうことにしよう」


「ええ、私は締羅様のお隣で寝ようかと・・・」


「却下。いいか、ティオはこの龍の様子を見てやるんだ。寝ている間に死にましたなんてことはごめんだ。しばらく様子をみて異常なければティオも寝ていいぞ。そうしたら後で御褒美だ」


「わあ、嬉しいです!って、そのご褒美とはなんですか?」


「そうだな、好きなだけ甘えていいぞ。ただし!加減を忘れるな」


「わかりました。えへへ」


なんか妙に嬉しそうだな



そして夕食も片付き、風呂に入り、さあ寝ようかという時間となった


「さて、ティオの部屋なんだが、一応しまってあったベッドと机を置いてある。部屋の空いた場所に布団を敷き、そこに龍を寝かせろ。いいな?」


「はい、わかりました」


「よし。それじゃあ龍を運ぶぞ」


「どのあたりを持てばいいですか?」


「腹あたりだ」と言おうとしたのだが


「グルル・・・」


「「あ・・・」」


二人の声が重なる


「龍をおけ!」


二人ともさっと龍を降ろす


「グ・・・・・グル?」


龍はわけがわからないという顔をしたが、すぐに二人を睨めつけてきた


この感じ、ティオと同じだな。なんとか沈めなければ・・・


「グルルル!」


龍はエメラルドに光る二つの目で二人の動きを警戒する


「大丈夫。危害を加えるつもりはない」


すると龍の引きつった顔が緩む。締羅は手を差し出す


「さあ、何もしないから」


すると龍は締羅の手に頭を伸ばす。そして締羅は龍の頭に手を置き、優しく撫でる。すると、龍は気持ちよさそうに目を閉じる


和解成功だ。ティオのときよりもスムーズだったな


龍は締羅に近寄ると、身を預けてきた。そう、のしかかりだ。だが締羅はいやというほどティオののしかかりをくらっているので、かろうじて受け止めることができた。


「うわ、いきなりだな。人間の姿にはならないのか?」


締羅がそう尋ねると、龍は目を閉じた。すると龍が赤い光に包まれ、光の球体となる。その球体が龍の形から人の形へと変わる。次の瞬間には、龍の姿は消え、変わりに赤いローブを身にまとった13〜14歳くらいの少女の姿があった。真紅に輝く髪を巨大なツインテールに、童顔、エメラルドの瞳を持ち、おとなしそうな顔をしていた。


すると突然龍がしゃべりだす


「こんにちは、お兄様。私の名前はレイジンといいます。これからもどうぞよろしくおねがいします。お兄様のお名前は?」


「え、あ・・・お、お兄様?」


するとレイジンはにっこり微笑む


「お、俺は天青 締羅だ。よろしくなレイジンさん」


「そんな、さんなんてなくて、レイジンでいいですよ」


「あ、そ、そうかレイジン」


「じゃあ、早速契約といきましょう!」


レイジンは締羅の手を握る。


「ここに、紅龍との契りを結ばん!」


すると赤い閃光が部屋を覆う。視界が回復すると。そこには少し大人びたレイジンがいた15〜16歳くらいで、長いリボンが二つの大きなツインテールを支えている。


「契約完了です。お兄様。これからは、共に過ごしていきましょう」


「え?、あ、ああ」 はぁなんかややこしくなってきそうだ




こうして新たに、レイジンという龍が締羅の家族に加わったのだった・・・




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