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泣きじゃくるお姫様

少しずつ書き進めていきますので、完成には時間がかかるかと思います。よろしくお願いします。

 薄紫色の髪と瞳をしたプリムラ姫は、いきなり叫んだ。

「嫌です! シグマ様とは結婚しませんっ!」

 そのまま姫は自室のベッドに倒れ伏し、わあーっと泣き崩れた。声をかけても全身で拒絶されてしまう。姫は確かあたしよりひとつ年上の十五歳。とびきり美人じゃないけれど、可愛らしい雰囲気の少女だ。でも、それも涙で台無しだった。

 お付きの侍女達はさっさと別室に退去してしまうし、姫の私室に一人取り残されたあたしは、なすすべもなく立ちつくしていた。

 今頃、塔のカウチで昼寝しているだろう師匠がつくづく恨めしい。たった一人の弟子に厄介な仕事を押しつけるなんて、自他共に半島屈指と認める大魔法使い、ジン・トニックのすることだろうか。しかもあたしなんて、まだまだ見習いで、ろくな魔法も習っていないのに。考えていると、こっちまで涙が出て来て、あたしは音を立てて鼻をかんだ。

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