滝田聡司の告白 31
あああもう、だから最初に言ったろうがよ!?
これはオレにとって、話すのも恥ずかしい、すっげーかっこ悪い話なんだって!
絶対、そんな風に笑うと思ったよ!
だから話したくなかったんだよ、ああもうホントやだ、ちくしょおおおう!!
……はー。
まあ、そんなわけで。
オレはそのまま軽音部の部室を出て、ふらふらと音楽室に戻ったわけだ。
え、それでも軽音部も入部しちゃえばよかったのに、って?
馬鹿野郎、なに言ってんだよ、さすがにオレもあの雰囲気の中に割り込めるほど、空気の読めねえ人間じゃねえよ!?
力ずくで、ポジションを奪うこともできただろうけど――それはそれで、オレが本当にやりたかったことから、ちょっと道を外しちまう気がしてな。
だから軽音部には入りたかったけど、そうオレ自身が直感したことには、素直に従うことにした。
だってそこは、大事にしなきゃいけねえとこだろ?
戻ってきたドラムのやつも、結局あの後からは、ちゃんと真面目に部活に来てたみたいだしな。
まあ……というか、あのときはもうそこまで考える余裕もなかったから、ああなんか、もうここには触れちゃいけないんだなーって思って、なんとなく帰っちゃった、って言った方が正しいけどさ……。
でも、それはそれで、今はよかったと思ってる。
紘斗も徹も相変わらず、あの後はやってたみたいだし。
岩瀬はちょっと、また考え方が変わったみたいだけど――やっぱりあのまま軽音部で、キーボード続けてたもんな。
だからあいつらはあいつらで、あの後も色々あったみたいだけど、結局最後までバンドをやりきったんだ。
それはそれで、すごくいいことだったと、オレは思うよ。
それじゃ、まあ、気が重いけど……。
次はオレが吹奏楽部に戻ったときの、あいつらの反応を話すことにしようかね。
正直、あんまり思い出したくもないんだが……まあ、ここまで話しちまったら、それこそケツまで話さねえと座りが悪いだろ?
ドラムは最後の最後のシメの分まで、きっちり叩く。
そうしねーと、曲がしまらねえからな。
まあ、だからと言ってそれで全部がカッコよくいくか、って言ったら、また別問題だけどさ……。
ま――あいつらの中で誰が何を言ったかは。
大体、予想がつくと思うけどな。




