滝田聡司の告白 30
ま、そんな感じでオレは、意気揚々と音楽室を飛び出したわけだ。
なんだかんだ、ここまで色々あったけど――ようやくオレはそのとき、自分なりに結論を出せたんだ。
ここに来るまでに、そりゃあ確かに失ったものもあったけどさ。
その選択は今でも、後悔してないよ。
で、このときのオレは、このまま二つとも部活をやって、もっともっと上手くなって。
これからの二つの本番が、それまで以上に盛り上がったら――最高じゃねえかって、そう思ってたんだ。
それって、わりとマジでいいことだと思うんだけど、みんなそうじゃねえのかな?
だって、そうだろ?
吹奏楽部には吹奏楽部の、いいところがあって。
軽音部には軽音部のいいところがあったんだから。
だったら、それを掛け合わせて――もっともっといいものにして。
それをみんなに向かって伝えられたら――それはすっげえ、いいものになるんじゃないかって、そう思うんだけどな。
それは、どうなんだろうな?
いや、しかし――振り返ってみれば、もうオレは、だいぶ前にその結論には辿り着いてたんだよな。
ほら、春日と豊浦を軽音部連れて行ったときには、オレもう言ってたろ?
『だったら両方やっちまえ』って。
あんときはそこまで自信がなくて、そう強くは言えなかったけどさ。
ああ、しかし頭悪いったらありゃしねえな。
気づくのどんだけ遅えんだって話だよ。
だからやっぱりオレはどーやったって、バカみてえに叩いて、叩いて――叩くことしかその先になにかを見つけられねーような、しょーもねー人間だってことなんだよな。
ま、だからこそ、ああしてふたつのドラムを叩くことを決意したわけだけどさ。
けど――ここまで話を聞いてくれてたあんたなら、ここでできた矛盾には薄々、感づいてるんじゃねえか?
そう、オレは結局、『軽音部には入らなかった』んだ。
はあ? だってそれじゃ、おかしいじゃねえか、って?
そうだよな、おかしいよ。
おっかしくて――だからこそ、この話をしたくなかったっていうのは、あるんだけどさ。
オレがここまで来て軽音部に入らなかったのって、なんでだと思う?




