滝田聡司の告白 22
なんて、な。
かっこいいこと言ってるかもしんないけど、要は「どうなってもいいから、とにかく一生懸命やるか」ってことだもんな。
その一生懸命っていうのが、結果に結びつくかどうかは、また別問題だけど。
ま、でもまずは、舞台に上がる気持ちがなきゃ始まらねえし。
それを豊浦が持ってるってことは、やっぱりいいことだと思うんだよ。
あいつはトランペットだし、とにかく目立つし、ビビッてたらなにもできねえからな。オレはあいつのそういうとこが、いいなと思ってる。変な意味でなく。
あ、でもこれって、あいつほど強くなくても、誰しも持ってるものだと思うんだよ。
オレもよく、楽器持ってステージ上がるのって、すごいですねとか言われたりするんだけどさ。
けど、それって別に楽器じゃなくても、人を笑わせようと思うことだったり、楽しませようとすることだったり、そういう気持ちに近いと思うんだよな。
だったら、オレらが特別すごいってわけじゃないんだ。できるんだよみんな。
それぞれが、それぞれの舞台に上がることはさ。
楽器じゃなくても。
人前に出ることじゃなくても。
自分が決めた、自分の舞台に上がることはさ。
……うん、まあ変なことまで言っちまったけど。
そんなわけで、豊浦は覚悟を決めたわけだ。
まあさっきも言ったけど、それが結果に結びつくかといえば、また別問題で……ここからもまた、一波乱あるんだ。
だから、早速その本番の話を、っていきたいところなんだけど。
その前に、それって軽音部のやつらも関わってきてるからさ。
まずは先に、そっちの話もしておかなくちゃな。
 




