滝田聡司の告白 6
ええキモいですねすみません。
……しゃあねえだろうがよ。
今から考えれば、あんときのオレはだいぶ溜まってたんだろうしな。
あの頃はなにを言っても「それは違う」って言われてたから、どんどんなにも言えなくなって、知らないうちにものすごく不満が募ってたんだと思う。
それがあのとき一気に解放されちまったんだ。押さえられてた大量の水が噴き出すみたいに、それまでのストレスの反動で勢いよくトンじまった。
言い方を変えれば、不満があったからああなったとも言えるし、それが今のオレを作ったともいえる。
……今から考えれば、な。あくまで。
当時はそりゃ、キツかったよ。もう一回あの状況でやれって言われたら、真っ平ゴメンだね。
……今だって似たようなもんだろうって?
まあな。
思ったこと言えばキモい言われるし、こき使われてるのは変わりねえけど。
それでもあんときよりは、だいぶマシだと思ってるぜ。
……うん。
そんなわけでオレはあの日、「これだ!」って思ったわけだ。
とにかく文句を言わせない。有無を言わさずオレについてこい。そんくらいやりゃあ、パワーに押されてついてくんだろ、開き直ってやっちまえオレ! って思った。
「シング・シング・シング」だって、そうやればいいと思った。ジャズは自由なんだろ? 感性任せに好きにやればいいんだと思った。
なんにも邪魔されない。縛られない。ジャズって、自由にやれってこういうことだろ、って思った。
ハイ不正解。
馬鹿な昔のオレ。
そんなわけあるかよ。




